シリコンテクノロジーが磁気光学材料分野へ事業参入、YIG単結晶の生産技術確立:製造マネジメントニュース
シリコンテクノロジーは、高純度で高品質のイットリウム鉄ガーネット(YIG)単結晶を安定的に生産できる技術を確立し、磁気光学材料分野へ事業参入する。
カーリットの連結子会社であるシリコンテクノロジーは2024年8月19日、高純度で高品質のイットリウム鉄ガーネット(YIG)単結晶を安定的に生産できる技術を確立し、磁気光学材料分野へ事業参入すると発表した。
シリコンテクノロジーは1995年の創業以来、半導体用シリコン材料を一貫生産しており、引き上げ法によるシリコン単結晶の育成から、鏡面ウエハー加工、洗浄まで全てを自社工場で行っている。これらのシリコン単結晶の育成技術やノウハウを生かし、このたび磁気光学材料分野にも事業を拡大する。
YIGとは?
YIGは、磁気特性を持つガーネット型フェライトとよばれる結晶で、優れた光学特性やマイクロ波特性を持つ材料だ。YIGをはじめとする磁気光学材料と呼ばれる単結晶は、アイソレータやサキュレータなどに代表される通信機器類に使用されている。
現在、普及が進む5G通信、そして今後、陸に加えて海、空、宇宙などあらゆる場所でのサービス拡大が期待される次世代の6G通信の整備など、昨今の情報化社会における通信速度の高速化や情報量の増大に重要な材料で、今後の市場成長が期待される。
磁気光学材料分野参入の背景
このように高品質で安定した性能を示すYIG単結晶が求められているが、YIG単結晶は安定生産の技術や高品質の維持が難しいとされている。シリコンテクノロジーでは浮遊帯域溶融法(Floating zone method:FZ法)によるYIG単結晶の育成の開発を進めていた。そして、独自のプロセスにより高純度な単結晶を得ることが可能となり、シリコンウエハー製品同様にYIG単結晶の生成からウエハー加工まで一貫した生産プロセスを確立し、製品化に成功した。
今後の展望
シリコンテクノロジーは2024年10月1日にカーリットと合併する。これまで培った単結晶育成技術やウェーハ加工までの一貫生産プロセスの強みを生かし、単結晶販売のみでなく、単結晶材料の試作開発や、結晶材の溶解受託といったサービス展開を検討していく。
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