低騒音化構造の採用で吸引力と史上最小の運転音を両立するスティック掃除機:メカ設計ニュース
シャープは、ステーションタイプのコードレススティック掃除機「RACTIVE Air STATION」<EC-XR1>を発売する。スティックにたまったごみを自動で収集する他、独自の低騒音化構造を採用し運転音を55dBに抑えている。
シャープは2024年7月22日、ステーションタイプのコードレススティック掃除機「RACTIVE Air STATION」<EC-XR1>を発表した。同年8月22日に発売する。
EC-XR1は、モーター音や排気音、駆動音を抑える「ノイズリダクション設計」をスティックの本体部分に採用している。また、「ファンネルサイレンサー構造」により、モーターを覆うファンネル(円すい)形状の遮音カバーと防振材が運転中のモーター音を低減する。遮音カバーのファンネル形状は、乱れた排気を集約する役割も持つ。
EC-XR1本体内の排気経路は一般的なスティック掃除機と比べて長いため、その長尺経路を通ることで、モーターから出た排気の音が減衰する。遮音カバーの出口では排気を拡散し、さらに排気音を減衰させる。
また、自然や生き物が持つ機能を技術、産業に応用する「ネイチャーテクノロジー」も取り入れた。素材の配置にフクロウの羽を応用し、空気抵抗を抑制したり、パーツにサメのえら形状を採用してスムーズに排気し、風切り音を低減したりしている。
これらの低騒音化構造と、吸込口の駆動音を抑える「ダンピングコントロール」などを合わせた結果、吸引力を確保しながらも、RACTIVE Air史上最小の運転音となる55dBを達成している。
この他に、スティックからステーション(充電スタンド)へとごみを収集する際の運転音についても、遮音カバーや防振材、内部に吸音材を配置した長い排気経路によって低騒音化している。
ごみは、ステーションにスティックを戻すと、ステーション内の紙パックに自動で収集される。ステーションには、着脱できるダストカップの中に紙パックをセットする独自の「パックinカップ」構造を採用。ダストカップを取り外してボタンを押せば、ごみのたまった紙パックを簡単に捨てられる。ダストカップは抗菌加工が施されており、丸ごと水洗いができる。
ハンドル部は、指がかりが2カ所設置され、握りやすく操作しやすい形状になっている。吸込口には、ごみを確認しながら掃除できるLEDライトを搭載する。
本体寸法は、スティックが221×134×997mm、ステーションが200×289×435m(収納時は221×289×1015mm)。標準質量はスティックが1.6kg、ステーションが3.9kgとなる。集じん容積は、スティックが0.05L(フィルターケース)、ステーションが0.37L(紙パック)。充電式リチウムイオン電池(14.4V/2500mAh)を使用しており、充電時間は約100分となる。隙間ノズル、抗菌3層紙パック1枚が付属する。
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