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三菱ケミカルの2025年3月期第1四半期は増収増益も、炭素事業は生産規模縮小決定製造マネジメントニュース(2/2 ページ)

三菱ケミカルグループは、2025年3月期第1四半期の売上高は前年同期比6.4%増の1兆1294億円で、営業利益は同21.9%増の153億円になったと発表。また、赤字が続く炭素事業で生産規模縮小を決定した。

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炭素事業を構造改革

 ファーマセグメントの売上高は同10%増の1125億円で、コア営業利益は同85%増の185億円となった。同セグメントでは、国内医療用医薬品で薬価改定の影響などが売上高の減少に働いた。一方、米国で発売した筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬「RADICAVA ORS」の伸長および為替の円安影響、持続性GIP/GLP-1受容体作動薬「マンジャロ」の好調、沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオヘモフィルスb型混合ワクチン「ゴービック水性懸濁注シリンジ」の順調な立ち上がりにより、売上高とコア営業利益ともに増加した。

ファーマセグメントのコア営業利益増減分析
ファーマセグメントのコア営業利益増減分析[クリックで拡大] 出所:三菱ケミカルグループ

 MMAサブセグメントとコーティング&アディティブスサブセグメントから成るMMA&デリバティブズセグメントの売上高は同27%増の1148億円で、コア営業利益は105億円となり前年同期から黒字に転じた。

 MMAサブセグメントでは、MMAモノマーなどの市況の上昇や販売数量の増加に加え、為替影響により売上高は増加した。コーティング&アディティブスサブセグメントでは、接着剤、インキ、添加剤用途などの需要が緩やかに回復したことで販売数量が増えた。さらに、販売価格の維持/向上により、売上高は増加した。同セグメントのコア営業利益は、MMAモノマーなどの市況の上昇による売買差の改善などにより増加した。

MMA&デリバティブズセグメントのコア営業利益増減分析
MMA&デリバティブズセグメントのコア営業利益増減分析[クリックで拡大] 出所:三菱ケミカルグループ

 マテリアルズ&ポリマーズサブセグメントや炭素サブセグメントで構成されるベーシックマテリアルズ&ポリマーズセグメントの売上高は同1%増の2617億円で、コア営業利益は68億円の赤字となった。同セグメントのコア営業利益は、エチレンセンターの定期修理影響の拡大やコークスなどにおいて原料と製品の価格差縮小があったものの、マテリアルズ&ポリマーズにおける在庫評価損益の改善や前期トラブル影響の縮小などにより、前年同期と比べ赤字を20億円縮小した。

ベーシックマテリアルズ&ポリマーズセグメントのコア営業利益増減分析
ベーシックマテリアルズ&ポリマーズセグメントのコア営業利益増減分析[クリックで拡大] 出所:三菱ケミカルグループ

 2025年3月期の業績予想に関して、第1四半期のコア営業利益は、期初に公表した上期業績予想に対して75%と想定を上回る進捗率となっている。第2四半期以降は、ディスプレイや食品関連などの需要動向が不透明であることに加えて、複数の事業構造改革案件にさらなる精査が必要であり、現時点で業績への影響を取り込むことは困難であることから、期初公表の業績予想を据え置く。

事業セグメント別 売上高とコア営業利益
事業セグメント別 売上高とコア営業利益[クリックで拡大] 出所:三菱ケミカルグループ
事業セグメント別 売上高とコア営業利益の四半期別推移
事業セグメント別 売上高とコア営業利益の四半期別推移[クリックで拡大] 出所:三菱ケミカルグループ

 なお、三菱ケミカルグループは当日の執行役会議で、連結子会社である三菱ケミカルの炭素事業における収益改善に向けた構造改革の方針およびコークス事業の生産体制最適化について決議した。

 具体的には、同社は2021年12月に公表した経営方針「Forging the future 未来を拓く」に基づき、炭素事業を「分離・再編し、独立化をすすめる事業」と位置付け、カーブアウトに向けて検討を進めてきた。

 一方で、炭素事業では、国内鉄鋼業界の需要動向を踏まえ、香川事業所(香川県坂出市)におけるコークス炉設備縮小や輸出出荷設備増強を進め、海外輸出展開型のビジネスモデルへと変革してきたが、足元は中国を中心とした鋼材需要の不振に伴い海外コークス市況が低迷しており厳しい事業環境となっている。

 そこで同社は、炭素事業ではカーブアウトよりも生産体制および販売政策の見直しが急務であると判断し、香川事業所で有するコークス炉のさらなる生産規模縮小を決定した。加えて、国内外の販売ポートフォリオの見直しや追加の合理化策などを実施し、市況変動に左右されない事業構造へ転換する。

 木田氏は「今後は、この構造改革に基づき、炭素事業は販売ポートフォリオの見直しによる売買差改善やコスト削減などを行い、2026年3月期からの黒字化を目指す。また、生産規模縮小を決定したことに伴い、非経常損失として2025年3月期第2四半期において約70億円の固定資産減損損失を計上する見込みだ」と話す。

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