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テラヘルツ波の屈折率制御が可能な三次元バルクメタマテリアルを開発研究開発の最前線

東北大学は、第6世代移動通信システムでの利用が見込まれるテラヘルツ波の屈折率制御が可能な三次元バルクメタマテリアルを開発した。スプリットリング共振器の配置密度を調整することで、屈折率の制御が可能となることが示された。

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 東北大学は2024年7月22日、第6世代移動通信システム(6G)での利用が見込まれるテラヘルツ波の屈折率制御が可能な三次元バルクメタマテリアルを開発したと発表した。

 同大学は2022年3月に、一層のスプリットリング共振器を三次元的に分散配置した、三次元バルクメタマテリアルを開発している。スプリットリング共振器は、切れ目(スプリット)のあるLC共振器で、電磁波に対して特定の周波数で共振を起こす特性を持つ。

 今回の研究では、スプリットリング共振器を一層から二層構造に変更。単位体積あたりの共振器の密度が一層構造よりも増えたことで、周波数0.34THz付近の屈折率が1THzあたり2.314変化することを確認した。

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メタマテリアル内包粉体の(a)概念図、(b)外観写真と拡大写真[クリックで拡大] 出所:東北大学
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三次元バルクメタマテリアルの(a)概念図、(b)外観写真、(c)拡大写真[クリックで拡大] 出所:東北大学

 この屈折率は、一層構造より1.25倍大きい変化率となる。この結果から、配置密度を調整することで、屈折率の制御が可能となることが示された。また、単位構造が不規則に配置するアモルファス構造により、光学的等方性を示すことも分かった。

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屈折率変化率とメタマテリアル粉体の密度の関係 出所:東北大学

 新材料は、スプリットリング共振器がシクロオレフィンポリマー(COP)に内包された粉体となっており、液状樹脂に攪拌(かくはん)して凝固すれば任意の形に成型できる。光学特性をオーダーメイドで設計でき、加工が容易であることから、多様な光学素子への応用が期待される。

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