中国の低迷や米国の一服感……グローバル新車生産が2カ月ぶり減少:自動車メーカー生産動向(1/3 ページ)
乗用車メーカー8社の2024年5月の世界生産台数は、8社合計は2カ月ぶりに減少した。国内生産では、ダイハツ工業の認証不正の影響が徐々に緩和されてきたこともありプラス基調となった。一方、海外は依然として中国が低迷、好調が続いていた北米にも一服感が見られる。
乗用車メーカー8社の2024年5月の世界生産台数は、8社合計は2カ月ぶりに減少した。国内生産では、ダイハツ工業の認証不正の影響が徐々に緩和されてきたこともありプラス基調となった。一方、海外は依然として中国市場での競争激化により低迷していることに加えて、好調が続いていた北米に一服感が見られるなど、変化の兆候も伺える。
さらにトヨタ自動車やマツダなどが6月初旬に発表した型式指定申請に関する不正行為の影響も懸念される。半導体の供給改善などで長らく回復基調が続いていた日系メーカー各社だが、今後の動向には注視する必要がありそうだ。
8社合計の世界生産は、前年同月比1.4%減の204万5522台だった。前年実績を上回ったのはスズキ、日産自動車、マツダの3社にとどまった。このうち海外生産は、同3.8%減の142万8844台と2カ月ぶりに減少。台数ボリュームの大きなトヨタとホンダが前年割れとなったのが響いた。
地域別では競争激化が続く中国が前年同月比20.4%減と大幅減となり、4カ月連続のマイナス。また、海外生産をけん引してきた北米は同4.8%増とプラスを確保したものの、これまでの2桁パーセントの伸びに比べると勢いが鈍化している様子が伺える。
一方、国内生産は、前年同月比4.4%増の61万6678台で、5カ月ぶりのプラス。各社が堅調に生産を増やしていることに加えて、ダイハツで生産再開車種が増えて減少幅が縮小したことが寄与した。
国内 | 海外 | (うち北米) | (うち中国) | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
トヨタ | 255,314 | 556,877 | 192,571 | 111,014 | 812,191 |
2.8 | ▲ 7.0 | 0.8 | ▲ 21.7 | ▲ 4.1 | |
ホンダ | 51,125 | 253,298 | 147,808 | 59,268 | 304,423 |
14.9 | ▲ 11.0 | 8.1 | ▲ 40.6 | ▲ 7.5 | |
スズキ | 83,157 | 211,229 | - | - | 294,386 |
27.5 | 2.2 | - | - | 8.3 | |
日産 | 49,173 | 225,789 | 109,745 | 63,809 | 274,962 |
▲ 7.9 | 2.1 | ▲ 0.5 | 18.0 | 0.1 | |
ダイハツ | 38,564 | 72,339 | - | - | 110,903 |
▲ 17.3 | 4.8 | - | - | ▲ 4.1 | |
マツダ | 55,523 | 39,627 | 27,764 | 5,407 | 95,150 |
8.8 | 29.6 | 44.5 | 0.9 | 16.6 | |
スバル | 46,400 | 33,180 | 33,180 | - | 79,580 |
▲ 6.8 | 8.6 | 8.6 | - | ▲ 1.0 | |
三菱 | 37,422 | 36,505 | - | - | 73,927 |
18.7 | ▲ 17.7 | - | - | ▲ 2.6 | |
合計 | 616,678 | 1,428,844 | 511,068 | 239,498 | 2,045,522 |
4.4 | ▲ 3.8 | 4.8 | ▲ 20.4 | ▲ 1.4 | |
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、% ※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計 |
トヨタ自動車
メーカー別に見ると、トヨタの5月のグローバル生産台数は、前年同月比4.1%減の81万2191台と4カ月連続のマイナスだった。このうち海外生産は同7.0%減の55万6877台と3カ月連続で前年実績を下回った。地域別で見ると、中国は、依然として続く厳しい販売競争により同21.7%減と大きく落ち込み、4カ月連続で減少した。
中国以外のアジアは、主力拠点のタイが経済低迷などにより前年同月比8.1%減、インドネシアも同6.0%減だった。一方インドは堅調な需要に合わせて2023年5月に能力増強したこともあり同24.8%増と伸長。フィリピンも同10.0%増と好調だったが、中国の落ち込みもありアジアトータルでは同11.0%減と4カ月連続で減少した。アジアと並ぶ主要市場の北米は、同0.8%増と14カ月連続のプラスとなったものの、伸び幅は鈍化している。また、欧州はフランスの稼働日が2日少なかったこともあり、同5.3%減と4カ月ぶりの前年割れとなった。
国内生産は、前年同月比2.8%増の25万5314台と4カ月ぶりの前年超え。堤工場(愛知県豊田市)第1ラインで後席ドアハンドルの電気式スイッチ「e-ラッチ」の不具合が判明した「プリウス」の生産を停止したが、稼働日が前年同月より2日多かったためプラスを確保した。
ただ、6月以降は、型式指定申請の不正により「ヤリスクロス」「カローラフィールダー」「カローラアクシオ」の生産を停止。人気車だけに国内生産に影響を及ぼすことが予想される。なお、現在のところ再開のめども立っていない状況だ。
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