英国事業所にグリーン水素製造プラント設置、低炭素ガラス生産で活用：工場ニュース

日本板硝子は、NSGグループの英国事業所であるPilkington United Kingdomのグリーンゲート事業所に、グリーン水素製造プラントを設置することを決定した。

[遠藤和宏，MONOist]

　日本板硝子（NSG）は2024年7月29日、NSGグループの英国事業所であるPilkington United Kingdom（ピルキントンUK）のグリーンゲート事業所に、グリーン水素製造プラントを設置することを決定したと発表した。

1日当たり最大7tのグリーン水素を生成

　同プラントは、英国内で水素製造プラントの開発を行うグレニアンハイドロジェンの主導のもとで2025年に建設を開始する。2027年から同プラントで生成された水素を活用して、グリーンゲート事業所内のフロート窯で低炭素ガラスの生産を行う予定だ。この計画は日本板硝子が政府から認可を受け、資金支援を受けて進める。

グリーンゲート事業所［クリックで拡大］ 出所：日本板硝子

　新設されるプラントは、水素生成プロセスに再生可能エネルギーを使用し、1日当たり最大7トン（t）のグリーン水素を生成する。この水素は全てグリーンゲート事業所のフロート窯の燃料として供給され、低炭素ガラスの生産に活用されることで、グリーンゲート事業所では年間1万5000tのCO₂削減効果を見込んでいる。

　今回のプロジェクトは、2021年にグリーンゲート事業所で水素エネルギーを用いてフロート窯で行われた建築用ガラス製造実験の成功事例に基づいて実現した。

　さらに、グリーンゲート事業所では、カーボンフットプリントを50％削減した低炭素ガラス「Pilkington Mirai（ミライ）」の生産を行っている。加えて、地域内の型板ガラス生産設備をグリーンゲート事業所に移設し、型板ガラスとフロート板ガラスを単一の溶融窯で生産するなどの取り組みも実施している。

　NSGグループでは、2050年までにカーボンニュートラルの達成を目指している。サプライチェーン全体を通じた脱炭素化に取り組んでおり、製造工程で発生するCO2の削減や再生可能エネルギーへのシフトを推進する。2030年までに温室効果ガス排出量を2018年比で30％削減するグループ目標は、日本のガラス製造業として初めて「科学的根拠に基づいた目標」としてSBTイニシアチブ（SBTi）1に認定されており、今回のプロジェクトはこの目標達成に向けた取り組みの一環で行われる。

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