「マクロス」河森監督が工業デザインに初挑戦、人機一体との共同プロジェクトで:デザインの力
人機一体は、プロダクトデザイナーの根津孝太氏、「マクロス」シリーズなどのアニメーション監督/デザイナーの河森正治氏とともに、人型重機の共同開発プロジェクトを開始する。
人機一体は2024年7月25日、電動バイク「zecOO」や家族型ロボット「LOVOT」などを手掛けてきたプロダクトデザイナーの根津孝太氏、「マクロス」シリーズなどのアニメーション監督/デザイナーの河森正治氏とともに、人型重機(ロボット)の共同開発プロジェクトを開始することを発表した。
同年8月1日に開催の「株式会社人機一体 成果発表会 2024」(開催場所:滋賀県草津市)内で行われる記者発表会において、根津氏および河森氏による未来の人型重機のコンセプトスケッチが初公開される。
人機一体は2021年から根津氏とともにトータルデザインプロジェクトを推進し、先端ロボット工学技術を組み込んだ汎用(はんよう)人型重機の社会実装に取り組んできた。JR西日本、日本信号と共同開発した「零式人機 ver.1.3」「零式人機 ver.2.0」では、根津氏と人機一体の機械設計エンジニアである野村方哉氏が共同設計を行い、産業機械としての実用性と機能美を兼ね備えたインダストリアルデザインを実現した。
その一方で、人機一体は「実世界で活躍する人型重機」について、河森氏と意見交換を進めてきたという。その中で、人機一体の「先端ロボット工学技術を社会実装し、苦役をなくしたい」という思いと、河森氏の「人の役に立つデザインをしたい。働いている人を支えるデザインをしたい」という思いが重なり、人機一体のトータルデザインを統括する根津氏を交え、今回の人型重機の共同開発プロジェクトを実施するに至った。
“実用化される人型重機”の開発を目指す今回の共同プロジェクトは、多くのアニメーション作品でメカニックデザインを手掛けてきた河森氏にとって、初のインダストリアルデザインへの挑戦となる。プロジェクトでは、プロダクトデザイナーの根津氏、野村氏をはじめとする人機一体の機械設計エンジニアとともにデザインチームを組成して取り組む。
河森氏と根津氏は今回の共同プロジェクトの開始に向けて、それぞれ次のようにコメントを寄せている。
「40年以上、エンターテインメントに携わり、たくさんのデザインをしてきました。それは人々に驚きやワクワクを提供する重要なコンテンツだと考えています。それと同時に、いつか社会課題に自分のデザインが貢献できるチャンスがあればと願っていました。今回こうして初めて、作業マシンの工業デザインに参画できる機会をいただき、とても感謝しています」(河森氏)
「人機一体が掲げる『あまねく世界からフィジカルな苦役を無用とする』という、壮大な、しかし実現可能な夢の達成に向けて、これまでに、夢を育むあまたの創造力の源泉を生み出し続けてこられた河森監督をプロジェクトにお迎えできることを、非常に光栄に思っています。人機プラットフォームの今後のさらなる発展を確信しています」(根津氏)
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