AIスタートアップのLeapMindが解散、12年の挑戦に幕:製造マネジメントニュース
AIスタートアップのLeapMindは2024年7月31日付で解散する。同月19日配信の電子メールで同社CEOの松田総一氏が明らかにした。
AI(人工知能)スタートアップのLeapMindは2024年7月31日付で解散する。同月19日配信の電子メールで同社CEOの松田総一氏が明らかにした。清算人は松田氏が務める。同年8月以降は通常清算手続きを進めていくとしている。
LeapMindは2012年12月の創業。IoT(モノのインターネット)やAIがブームになる以前から、主にエッジデバイスへの機械学習モデルの実装を中心とした事業を展開してきた。2016年6月にはシリーズAラウンドで3億4000万円、2017年10月にシリーズBラウンドで11億5000万円、2019年10月にはシリーズCラウンドで約35億円の資金調達を実施するなどしている。
LeapMindの製品としては、2018年7月に組み込みディープラーニングモデル評価キット「DeLTA-Kit」の提供を始めており、2020年4月には超低消費電力AIアクセラレータIP「Efficiera」を発表している。Efficieraは、NECプラットフォームズやマクセルフロンティア、オカムラなどが採用していた。これらの他、2023年10月には、演算性能目標は2PFLOPS、同等性能のGPUと比べて10倍のコストパフォーマンスを目指すAI用半導体チップの開発開始を発表している。
解散理由について松田氏は「諸般の事情」としつつ、「現預金があるうちに、従業員や取引先を含めたステークホルダーに対して債務不履行などが発生するリスクを防ぐため、自主的な解散を進めるべきと判断した」と説明している。また、顧客向けにソフトウェア/製品パッケージなどのリリースで使用していた共有フォルダは、今後順次アクセスができなくなるため、必要なデータがある企業は適切にバックアップすることを推奨している。
松田氏は電子メールにおいて「AIを実用的に扱うためには、ソフトウェア/ハードウェア両方考慮しながら、工夫する必要があると考え、また世界的にみても、こういった考えを持っている企業は少ないことから、価値があると考え挑戦し続けてきたが、その価値を証明するに至らなかったことは、非常に残念に思う」と述べている。
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