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鉄鋼生産で発生する二酸化炭素の一酸化炭素へのプラズマ変換を実証:研究開発の最前線
三菱重工業とArcelorMittalは、高炉ガスなどから回収した二酸化炭素を一酸化炭素にプラズマ変換する実証試験を開始する。鉄鋼生産過程におけるCO2の循環利用プロセスを検証する。
三菱重工業とArcelorMittalは2024年7月8日、高炉ガスなどから回収した二酸化炭素(CO2)を一酸化炭素(CO)にプラズマ変換する実証試験を開始すると発表した。ベルギーのD-CRBNが有する変換技術を用い、鉄鋼生産過程におけるCO2の循環利用(CCU:Carbon dioxide Capture and Utilization)プロセスを検証する。
今回の実証試験は、炭素(C)と酸素(O)の結合をプラズマによって切り離し、CO2をCOに変換する技術を実証するものだ。鉄鋼生産で発生するCO2には不純物が含まれており、この不純物によるプロセスや製品ガスへの影響の有無を確認する。
ベルギーにあるArcelorMittalのゲント製鉄所では、三菱重工業が関西電力と共同開発した「Advanced KM CDR Process」によるCO2回収実証試験が、同年5月より進行中。この回収装置からCO2を供給する。回収装置と変換装置は、同年7月1日に接続された。
生産したCOは、コークスや原料炭の代替として高炉で使用したり、化学品や代替燃料製造の原料に活用できる。三菱重工業は両社との協働により、製鉄分野における既存設備の脱炭素化を図る考えだ。
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