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フローで考える熱のモデリング(その3) 〜ドライヤーを例に熱のモデリングを行う〜1Dモデリングの勘所(33)(3/4 ページ)

「1Dモデリング」に関する連載。連載第33回では「フローで考える熱のモデリング(その3)」と題し、ドライヤーを例に熱のモデリングを行う。

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ヒーターに流れる風速

 筐体の入口面積をAc、内径をΦcとすると、ファン流速uは、

式17
式17

となる。ここで、q=0.02m3/s、Φc=0.04mとすると、u=16m/sとなる。実際には、図5に示すように、ファン特性とシステム抵抗から流量qは決まるが、以下の計算では、ドライヤーのシステム抵抗は小さく、条件によって変化しないものとし、流量も上記の一定値(q=1.2m3/min=0.02m3/s)を使用することにする。

ヒーターと筐体間の放射伝熱

 ヒーターと筐体間の放射伝熱は前回の放射伝熱の式から、

式18
式18

となる。A1はヒーターの表面積で、

式19
式19

である。ヒーターの放射率εは参加されたニクロム線の場合、0.95とする。

筐体の熱伝導

 筐体は内側から、ヒーターの放射伝熱により熱を受け、この熱が筐体内部を熱伝導で伝わっていく。従って、この際の熱伝導は図6に示すように、円筒状筐体を板に展開し、板の下面から熱を受け、板厚方向に熱伝導するのと等価である。今、筐体材料をプラスチックとし、その熱伝導率λを0.1△W/m・K、筐体の直径dを0.04m、筐体の厚さtを0.002mとすると、筐体内の熱伝達による熱コンダクタンスは、

式20
式20

となる。

筐体の熱伝導
図6 筐体の熱伝導[クリックで拡大]

各部の熱容量

 ヒーターの熱容量C1は、

式21
式21

となる。ρは密度で8.4×103kg/m3、cpは比熱で450J/kg・Kである。

 筐体の熱容量C3は、

式22
式22

となる。ρは密度で9.0×102kg/m3、cpは比熱で1900J/kg・Kである。

 ファン流のエンタルピーHは、

式23
式23

となる。ρは空気の密度で1.2kg/m3、cpは比熱で1000J/kg・Kである。

 以上を整理すると、パラメータは以下となる。

式24
式24[クリックで拡大]

参考文献:

  • [1]日本機械学会|伝熱工学資料 改訂第5版(2009)

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