キャディが2つの主力事業を統合し、製造業AIデータプラットフォームとして昇華:メカ設計ニュース
キャディは、部品調達プラットフォーム「CADDi Manufacturing」と図面データ活用クラウド「CADDi Drawer」の2つの事業を統合し、今後「製造業AIデータプラットフォームCADDi」として展開していく方針を明らかにした。
キャディは2024年7月16日、オンラインで記者説明会を開催。部品調達プラットフォーム「CADDi Manufacturing」と図面データ活用クラウド「CADDi Drawer」の2つの事業を統合し、今後「製造業AIデータプラットフォームCADDi」として展開していく方針を明らかにした。
調達や製造に関する問題のほとんどが、サプライチェーンの上流に位置する設計に起因することから、設計図面を起点としたサプライチェーン全体へのアプローチが重要だと判断し、CADDi ManufacturingとCADDi Drawerの統合に踏み切ったという。
この意思決定に伴い、CADDi Manufacturingで展開してきた部品/組立品の提供終了を発表。併せて「部品調達プラットフォームとして主に自社向けに開発してきた数十ものソリューション/プロダクトを全て製造業AIデータプラットフォームCADDi上に乗せ、アプリケーションとしてユーザーに提供していく」と、同社 代表取締役社長の加藤勇志郎氏は説明する。
製造業AIデータプラットフォームCADDiでは、CADDi Drawerをコアに、図面、CAD、仕様書、コスト、品質データなど、エンジニアリングチェーン/サプライチェーン上のあらゆる知見やデータを解析、関連付けし、資産としての活用および価値創出につなげることを狙う。
製造業の現場では、多くのデータが散在し、一部ではデジタル化すらされていない状況もある。そのため、過去の積み重ねやナレッジが共有されていない/資産化されていないことで、同じ作業を繰り返してしまう“車輪の再発明”がしばしば見られる。製造業AIデータプラットフォームCADDiでは、こうした無駄な作業を効率化することで、製造業の「標準」を引き上げ、人がより創造的な活動に集中できる基盤を作り、事業の成長を後押しする。
また、これまで蓄積されてこなかったデータを取得し、価値につなげていくためのアプリケーションのラインアップも強化していく。その第一弾となるのが、2024年2月に発表した見積活動を自動化/効率化する「CADDi Quote」だ。今後、同様のアプリケーションが製造業AIデータプラットフォームCADDiに追加されていく予定だという。
CADDi Manufacturingが担ってきた部品/組立品の提供終了について、加藤氏は「既に顧客に対しての告知を始めており、新規案件から提供をストップする。受注済みの案件については完納まで責任をもって対応していく。また、製品開発の中でインフラとして活用していただいている顧客に対しては、CADDi Manufacturingのパートナー工場を紹介し、直接つなぐような支援も進めていく」と語る。
同社は2017年11月に創業。翌2018年から製造業の受発注プラットフォーム「CADDi」(現:CADDi Manufacturing)を展開し、QCD(品質/コスト/納期)を担保した一気通貫による調達支援サービスを提供してきた。そして、これらの知見を基に、2022年に図面データ活用クラウドのCADDi Drawerの提供を開始。併せて、グローバル展開も強化し、現在、日本、ベトナム、タイ、米国の世界4カ国で事業を展開している。今回の新構想の発表に伴い、同社は今後1年間で国内300人の人材採用も進めるとしている。
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