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転がり軸受けの基本動定格荷重を向上、基本定格寿命が最大2倍に:サステナブル設計
日本精工は、転がり軸受けの基本動定格荷重を向上し、基本定格寿命を最大2倍に延長した。従来の軸受けをより小型な軸受けに置き換えることで、機械を小型化、軽量化できるため、消費電力削減に貢献する。
日本精工は2024年7月1日、転がり軸受けの基本動定格荷重を向上し、基本定格寿命(計算寿命)を最大2倍に延長したと発表した。改定後の基本動定格荷重は、同社Webサイトのエンジニアリングツール(オンラインカタログ、技術計算、CADデータダウンロード)に反映されている。
同社は、2023年3月に発表した「Micro-UT法を用いた高精度寿命予測」を実用化し、深溝玉軸受け、アンギュラ玉軸受け、自動調心玉軸受け、円筒ころ軸受け、円すいころ軸受けなど主要な転がり軸受けに適用した。同予測により、転がり軸受けの寿命計算のパラメーターである基本動定格荷重を一斉改定したところ、基本定格寿命が最大2倍に延長した。
軸受けの基本動定格荷重が向上したことで、高負荷環境での使用が可能になるため、従来の軸受けをより小型な軸受けに置き換えて、機械を小型化、軽量化できる。例えば、円すいころ軸受け「HR32306J」の場合、より小型の「HR33206J」に置き換えられるため、軸受け外径を約14%、軸受け組み立て幅を約13%小型化し、軸受け重量を約38%軽量化できる。
小型の軸受けへの置き換えが進むことで、製造過程における省資源化につながる。また、従来よりも軸受けトルクが低減し、製品の使用段階での消費電力を約48kWh(約18%)削減する。CO2排出量に換算すると、1個当たり年間22kgを削減可能だ。
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