作りたいモノをよく観察し、市販部品をうまく活用しながら構想を練っていく:ステイホームでDIYを極める! 玄人志向なモノづくり(2)(1/3 ページ)
ステイホームで注目を集める「DIY」をテーマに、設計から製作までのプロセスを、実際の製造業におけるモノづくりの視点を交えながら解説することで、DIY素人の皆さんに“玄人のエッセンス”を伝授する。第2回では、オリジナル「カメラスライダー」の製作をテーマに、実現方法のイメージを膨らませていく。
はじめに
皆さん、こんにちは! Material工房・テクノフレキスの藤崎です。
「DIY」は製造業での現場作業と同じく、数をこなすにつれて知識も増えて徐々に上達していきます。だから始めて間もないうちは失敗してもよいのです。でも、失敗は最小限に食い止めたいですよね。そして、何より初心者さんには「やったぞ! 自分にも作れたぞ!」という達成感をぜひ味わっていただきたいので、作る前に作品の計画を固めておきましょう。
そこで、前回お話した……、
- 予算を立てる
- デザインを考える
- コストの見積もりをして、予算案修正を行う/デザイン案修正を行う
の流れを、ある1つの“DIY計画”を題材にしながら、今回から数回にわたって紹介していきます。もちろん3D CADも使いますよ。
オリジナル「カメラスライダー」をどう作るか? 構想してみよう
今回取り上げるDIY計画のネタとは、「カメラスライダー」のことです。
カメラスライダーとは、動画や連続写真の撮影を滑らかに行うために、カメラをぶれないように固定しながらスライドさせる道具です。インターネットで商品検索するとたくさんヒットしますが、ほとんどのものが数万〜十数万円レベルです。言い換えると“ピンキリ”でもあります。
ただ、それらを観察してみると基本的な構造はどれも同じで、「レールの上で、カメラを固定した台を走らせる」という単純なものです。この基本的な構造をDIYで再現できれば、オリジナルのカメラスライダーが作れそうですよね。
カメラスライダーは家具や小物とは違い“動くモノ”です。これは取り組んでみる価値があると思いませんか?
失敗を最小限にして達成感を得るには、まず自分の自作スキル(身の丈)を知ることです。ドリルで穴を開けたこともない人に、いきなり難易度の高い作業はできませんから、市販のパーツをうまく使いながら、無理なく自作できる部品を考案しましょう。その上で、「ここぞ!」という部分には自分のセンスを織り込む、という作り方がよろしいかと思います。
カメラスライダーに必要なものを考える
それでは、自作のカメラスライダーの実現方法についてイメージを膨らませていきましょう。
手に入りやすい部品を使って、あまり手間を掛けずに作るとしたら“金属の丸棒を2本並べて、そこに自作のカメラ固定台を通す――”。こんな仕様がよさそうです。カメラ固定台が端に寄ったときに、丸棒を支えるブロックの上面と面一(ツライチ)になればそこで行き止まりとなり、ムダな出っ張りのないスッキリとしたデザインになりそうです。
さらに土台になる板を用意して、これをそっくりネジで固定すれば、使用中の姿勢も安定しそうですよね。この土台用の板は、専門業者のネット通販やホームセンターで手に入る安いもので十分と思われます。カメラ固定台には「ベアリング」を入れて、そこに丸棒を通せば滑らかに動いてくれるでしょう。
「ベアリング」って何ですか?
おっと。「ベアリングって何なの?」って話ですよね。
図3はボールベアリングの写真です。中に球が入っていることから、日本語では「玉軸受」と表記されます。「軸受」と呼ばれる理由は、ベアリングが“歯車や車輪など、回転するモノの軸を受け止めて支える部品”だからです。そして、その役割は“摩擦を減らしてモノを滑らかに動かすこと”です。
“金属の丸棒を2本並べて、そこに自作のカメラ固定台を通す”という今回の構造では、丸棒とカメラ固定台との間にスライドによる摩擦が生じます。これをベアリングによって解消し、滑らかにスライドするように工夫するというわけです。
初めてのDIYでベアリングを使うだなんてカッコイイですね。早速、玄人気分になれそうじゃありませんか。
カメラ用の「雲台」を活用
カメラスライダーにカメラを載せる際は、カメラ固定台に「雲台(うんだい)」という部品を取り付ける必要があります。雲台とは、こんな形状の部品です(図4)。これはレーザー水平器の三脚用なので、とても小さい雲台です。カメラ用にはもっといろいろな種類があるので、よく調べて選びましょう。
通常、雲台の上下のネジは「カメラネジ1/4」という特殊なものが用いられます。そのため、ネット通販などで雲台を購入する際は、ネジも一緒に手に入れた方がよいでしょう。
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