トヨタグループの用品メーカーが下請法違反で勧告、金型の無償保管で:製造マネジメントニュース
公正取引委員会はトヨタグループで用品や特装などを手掛けるトヨタカスタマイジング&ディベロップメントに対して下請代金支払遅延等防止法の違反行為が認められたと発表した。
公正取引委員会は2024年7月5日、トヨタグループで用品や特装などを手掛けるトヨタカスタマイジング&ディベロップメントに対して下請代金支払遅延等防止法(下請法)の違反行為が認められたと発表した。第4条第1項第4号(返品の禁止)と同条第2項第3号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)の規定に違反しているとし、下請事業者に対して費用に相当する額を速やかに支払うよう勧告した。
トヨタカスタマイジング&ディベロップメントは下請事業者に内外装部品の製造を委託している。下請事業者から製品を受領した後、当該製品の品質検査を行っていないにもかかわらず、当該製品に瑕疵(かし)があることを理由に2022年7月〜2024年3月の期間で当該製品を引き取らせた。作業工賃も含めると、返品した下請代金相当額は総額5427万3356円に上る。この行為について、トヨタカスタマイジング&ディベロップメントは2024年6月20日に下請事業者に対して返品した製品の下請代金相当額などを支払った。
また、トヨタカスタマイジング&ディベロップメントは下請事業者に対して自社が所有する金型を貸与していたが、2022年7月1日以降、その金型を用いて製造する製品の発注を長期間行わないにもかかわらず、合計664個の金型などを無償で保管させていた。トヨタカスタマイジング&ディベロップメントは2022年7月〜2024年3月に664個の金型のうち108個の金型を廃棄した。公正取引委員会は無償で金型を保管させたことによる費用に相当する額を速やかに支払うよう求めた。
公正取引委員会は、これらの行為が下請法の規定に違反するものであることや、今後同様の違反行為を行わないことを取締役会の決議で確認するよう求めた。また、発注担当者に対する下請法の研修を行うなど、社内体制の整備に必要な措置を講じるよう勧告した。
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