約16cmサイズの「曲がるペロブスカイトタンデム太陽電池」を作製可能な設備を導入:材料技術
PXPは、約16cmサイズまでのフレキシブル型ペロブスカイト/カルコパイライトタンデム太陽電池を開発できる設備を2024年度内に導入する。
PXPは2024年7月2日、約16cmサイズまでのフレキシブル型ペロブスカイト/カルコパイライトタンデム太陽電池を開発できる設備を同年度内に導入すると発表した。
タンデム太陽電池は、分光感度の異なる複数の太陽電池を重ねて用いることで、幅広い波長の光を無駄なく電気に変換する太陽電池だ。同社は紫外光から赤い光で効率よく発電するペロブスカイト太陽電池と、赤い光から赤外光で良く発電するカルコパイライト太陽電池を重ねたペロブスカイト/カルコパイライトタンデム太陽電池の開発を進めている。
セルを自由に貼り合せてつなぐ技術でメートル級のサンプルが作製可能に
PXPでは、Gen2技術としてペロブスカイトタンデム太陽電池の高効率化の研究/開発に取り組んでおり、成果として変換効率26.5%を発表している。ペロブスカイトタンデム太陽電池の早期実用化のため、高効率化に加え、高耐久化、大面積化、量産技術開発にフォーカスした研究開発も本格的に行っている。
高耐久化の取り組みでは、光や高温に対する個々の耐久性を十分高めてきた。しかし、現在世界中のペロブスカイト太陽電池で最大の課題となっている、光が当たり高温になった際に発生する複合的な劣化に対処するため、新構造の開発に取り組んでいる。
また、大面積化に関しては、現在装置制約のため約4cmサイズのペロブスカイト太陽電池しか作製できないが、2024年度内に約16cmサイズまで作製できるように設備を刷新する予定だ。
これにより、Gen1技術として先行しているカルコパイライト太陽電池と同様に、セルを自由に貼り合せてつなぐ技術を適用することで、自由なサイズでメートル級のサンプルが作製可能となると見込む。また、量産技術開発の取り組みでは、ドライプロセスを用いた均一なペロブスカイト太陽電池を、下地のカルコパイライト太陽電池上に直接形成できる量産技術開発に取り組んでいる。
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