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電力損失の低減と通信データ量の増大に対応、富士電機のプラント用ドライブ装置:FAニュース
富士電機は、モーター制御時の電力損失を低減するとともに、通信データ量を増大させた、プラント用ドライブ装置「FRENIC-GS」を発売した。電力変換の回数を減らすことで変換時の損失を抑え、消費電力量を最大4%低減する。
富士電機は2024年5月30日、モーター制御時の電力損失を低減するとともに、通信データ量を増大させた、プラント用ドライブ装置「FRENIC-GS」を発売した。日本や中国、東南アジア、インドの製鉄、製紙などの素材産業、自動車をはじめとする加工組み立て産業を中心に提供する。
生産設備や港湾クレーンでは、モーターの減速、停止時に生じる回生電力を電源系統に戻し、他のモーターの運転などに再利用する。同装置は、回路構成の最適化により、回生電力を電源系統に戻すことなく再利用できる。電力変換の回数を減らすことで変換時の損失を抑え、消費電力量を最大4%低減する。
また、モーターをドライブ装置で制御する際に生じる電源波形のひずみを抑えるため、回路にフィルターを設ける必要がある。同装置は、抵抗器を使わずにひずみを抑える電力制御技術を搭載。フィルター内の抵抗器による電力損失を低減した。
装置本体に高性能CPUを搭載し、データの処理能力を強化した。さらに、情報収集用と制御用のネットワークを分離し、通信可能なデータ量を増大させた。これにより情報の利活用を促進し、生産現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する。
設置場所の省スペース化に対応するため、インバーターなどの変換装置の冷却構造と収納盤の風洞構造を改良。本体を従来機種比で約2割小型化した。
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