AIエンジン内蔵、手のひらサイズの組み込みモジュールを販売:エッジコンピューティング
アドバンテックは、AIエンジン内蔵のOctaコアプロセッサ「Qualcomm QCS6490」を搭載した、システムオンモジュール「ROM-2860」の販売を開始した。OSMのSize-L規格に準拠した、45×45mmサイズの組み込みモジュールだ。
アドバンテックは2024年4月24日、AI(人工知能)エンジン内蔵のOctaコアプロセッサ「Qualcomm QCS6490」を搭載した、システムオンモジュール「ROM-2860」の販売を開始したと発表した。
ROM-2860は、OSM(オープンスタンダードモジュール)のSize-L規格に準拠した、45×45mmの組み込みモジュールだ。手のひらサイズながら、TDP 6.9WのオクタコアQCS6490プロセッサを搭載し、x86プロセッサよりも20%高い処理能力を提供する。UbuntuおよびWindows 11をサポートし、CPU、GPU、Wi-Fi、モバイルネットワーク、AIエンジンをオンボード実装している。
実装したAIエンジンは12TOPsの性能を持ち、2台のカメラ入力やH.264/265ビデオコーデックに対応する。耐振動性に優れ、シームレスなビデオキャプチャー処理が可能で、特にAMR(自律移動ロボット)の運用効率向上に貢献する。
開発者向けには、Microsoft Azure AI ServiceやQualcomm SNPE SDK、Qualcomm AI Hubなど、さまざまな開発ツールを提供。ARM64との互換性もあり、既存プロジェクトのバイナリコンパイルが簡素化できる。
5G、Wi-Fi 6用のPCIe Gen3、LPDDR5、UFS、USB 3.2、URAT、GPIOなど、豊富なインタフェースをサポートし、デュアルディスプレイにも対応している。
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