アップルが温室効果ガス排出量を2015年比で55%以上削減、コバルトの再利用なども:脱炭素(2/2 ページ)
アップルは、2024年の事業に関係して排出する温室効果ガスの排出量を2015年比で55%以上削減したことを発表した。
プラスチック使用量を減らす設計
アップルでは製品パッケージからプラスチックを排除し、繊維をベースとしたプラスチック代替品への置き換えを進めている。Apple WatchとApple Vision Proでは2023年に初めて100%繊維ベースのパッケージをリリースしている。アップルが2023年に出荷した製品全体では、プラスチック製のパッケージはわずか3%になった。さらに、スウェーデンのRISE Research Institutesと共同で、多くの種類のパッケージに広く使われている保護フィルムに代わる、繊維ベースの代替材料の開発を発表している。
リサイクルを進めるための新たな技術開発や製品づくり
アップルはリサイクル分野の発展のために、新たなテクノロジーの開発も推進している。その中には、29モデルのiPhoneを15個の部品に分解できるロボット「Daisy」や、中国のリサイクルパートナーと共同で導入しているリサイクル装置である「Dave」や「Taz」などがある。さらに、2024年に、米国カリフォルニア州にある資産回収センターに新しい製品選別機を導入し、プロセスの自動化による効率性と生産性の向上に取り組む計画だ。アップルでは、低コストで時間を節約できるソリューションとして、この技術を世界中のリサイクルパートナーと共有する方針を示している。
さらなる効率改善を進めるため、資産回収センターでは現在、自律移動型ロボットを採用し、施設内での製品や部品の運搬支援を行っている。さらに、カーネギーメロン大学などとの学術提携を通じて、リサイクルにおける人工知能、機械学習、ロボット工学、自動化の力をさらに活用することにも取り組んでいる。
アップル製品の回収プログラム
アップルでは2023年にリユースプログラムを通じて1280万台のデバイスやアクセサリーを新たなオーナーのもとに送り届けており、製品のリユースを推進している。現在でも、iPhone 7については同プログラムで下取り中だとしている。さらに、アップルでは価値のなくなった製品を責任をもってリサイクルし、内部の貴重な素材を回収して将来の製品に活用している。
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