アップルが温室効果ガス排出量を2015年比で55%以上削減、コバルトの再利用なども:脱炭素(1/2 ページ)
アップルは、2024年の事業に関係して排出する温室効果ガスの排出量を2015年比で55%以上削減したことを発表した。
米国Apple(アップル)は2024年4月18日(現地時間)、4月22日の「Earth Day(※)」に先立ち、環境関連の取り組みの進捗について発表した。アップルが事業に関係して排出する温室効果ガスの排出量は2015年比で55%以上削減したという。
(※)Earth Day:個人や企業が地球環境のために行動する日。1969年に発生した原油流出事故を契機に地球環境の大切さを訴えるために米国上院議員で環境活動家だったゲイロード・ネルソン氏が1970年4月22日に討議集会を開いたのがきっかけだとされている
アップルでは2030年までに2015年比で温室効果ガス排出量を75%以上削減する目標を示しており、その計画に対し順調に推移していることを示した。これらに貢献する具体的な取り組みとして、アップルが取り組んだイノベーションやパートナーシップについてモノづくりに関係するものを紹介する。
コバルトやリチウム、銅のリサイクル活用
アップルでは、重要素材の再利用に積極的に取り組んでいる。その中で、2023年にアップル製品のバッテリーで使用されたコバルトの内、56%はリサイクルされたものだったという。その比率は2022年の2倍以上となった。また、同様に2023年にアップルのバッテリーで使用されたリチウムの内、24%は認定を受けた再生資源から作られたものだという。アップルではこれらのリチウムとコバルトを、使用済みバッテリーの産業廃棄物や消費者廃棄物から調達している。
さらに、銅についてもリサイクル材料の活用を進めており、「iPhone 15」や16型「MacBook Pro」の主な熱アプリケーション、タプティックエンジン、プリント基板などを含む多くの製品ラインで100%リサイクル銅を使用しているという。
製造サプライチェーンにおける温室効果ガスの削減
アップルでは、サプライチェーン全体のクリーン電力への移行を強力に推進してきたが、現在までにサプライヤーに対し、世界中で16.5GW(ギガワット)以上の再生可能エネルギーの活用を支援している。さらに、アップルとの協力でエネルギー効率を優先することで、100以上のサプライヤー施設で2023年は20億kWh以上の電力削減につながった。これらの施設では、熱に関する追加的エネルギー節約と合わせて2022年に対し25%増となる約170万トンのCO2排出量削減を実現したという。
さらに、温室効果が大きなフッ素系温室効果ガスを排出するフラットパネルディスプレイの製造において、サプライヤーとの協力で排出量を追跡し、製造現場に最先端の削減装置の導入を推進している。
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