新Apple Watchはアップル初のカーボンニュートラル製品、なぜ達成できたのか:脱炭素(1/2 ページ)
米Appleは、「Apple Watch Series 9」と「Apple Watch Ultra 2」を発表した。これらは、Appleで初めてカーボンニュートラルを達成した製品となる。
米Apple(アップル)は2023年9月12日(現地時間)、ウェアラブルデバイス「Apple Watch」の新モデルとして「Apple Watch Series 9」と「Apple Watch Ultra 2」を発表した。これらの新製品と、既存製品であるApple Watch SEにおいて、一部のケースとバンドの組み合わせは、同社として初めて、製造プロセスなども含めてカーボンニュートラルを達成した製品となる。
新たに発表された製品の詳細については以下の記事などに譲るが、本稿ではアップルがどのようにして製品のカーボンニュートラル化を進めているかを中心に紹介する。
2030年に全ての製品をカーボンニュートラルとする
アップルは2030年までに全ての製品においてプロセス全てのカーボンニュートラル化を実現することを目標として掲げており、そのためにさまざまな取り組みを進めるとともにそれぞれの進捗度を外部に公開している。
具体的な取り組みの1つが「より多くの再生素材と再生可能素材を使う」ということだ。再生素材は多くの場合、天然資源から調達した素材に対し、カーボンフットプリント(製品ライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算し商品やサービスに分かりやすく表示する仕組み)が小さくなる。アップルでは、PCやスマートフォンの筐体で使用するアルミニウムなどをはじめ、この再生素材および再生可能素材を積極的に採用し、製品における実質的CO2排出量削減を進めている。2022年時点では、出荷した製品における再生素材と再生可能素材が占める割合は、全ての素材に対し20%を占めた。将来的にはこの比率を100%に引き上げる考えだ。
「クリーンエネルギーで作る」ことにも積極的に取り組む。アップル製品のカーボンフットプリントの大半は製品や使用される部品の製造工程で使われるエネルギーによるものだ。そのため、アップルでは製造パートナーおよびサプライヤーとの協力で、太陽光や風力など再生可能エネルギーへの移行を推進しており、2030年までには、全てのアップル製品を100%クリーンエネルギーで作られるようにする計画を示している。そのため、サプライヤーなどへの支援も進めており、300社以上のサプライヤーが2030年までにアップルの全製品の製造に100%再生可能な電力を使うことを確約しているという。
2030年までにアップル製品に関連する製造を100%再生可能エネルギーで行うことを表明しているサプライヤーリスト。このリストでは約250社だが、現在はここからさらに賛同企業は50社増えたとしている[クリックで拡大] 出所:アップル
「炭素の排出量が少ない方法で輸送する」ことも推進。鉄道、海上輸送、電気自動車の利用など、CO2排出量の少ない方法を優先的に採用し、カーボンフットプリント削減を進めている。その他「エネルギー効率に優れた製品にする」「使用済み製品をリサイクルする」などの項目において、実際に目標値を掲げて取り組んでいる。
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