検索
ニュース

Formlabsが新型3Dプリンタ「Form 4」発表、LFSを超えるプリントエンジンを採用3Dプリンタニュース(2/2 ページ)

Formlabsは、プロフェッショナル向け光造形(SLA)方式3Dプリンタの最新モデル「Form 4」を発表した。新たな3Dプリントエンジン「LFD(Low Force Display)」により、速度、精度、信頼性、性能品質の大幅な向上を図っている。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

超高速、高精度、高品質を実現する「LFD(Low Force Display)」とは?

 Form 3シリーズからの大きな変更点は、Form 4向けに新設計したLFDを3Dプリントエンジンに採用している点だ。Form 3シリーズが採用するLFSは、特に造形精度や表面品質において競合優位性を発揮してきたが、近年、SLA方式3Dプリンタの市場ニーズとして高速造形を重視する傾向が強まっていることを受け、あらためて3Dプリントエンジンを見直し、再設計に至った。

サンプル造形が完了したときの様子(1)サンプル造形が完了したときの様子(2) サンプル造形が完了したときの様子[クリックで拡大]

 Form 4が採用するLFDは高精度、高信頼性に加え、超高速造形を実現しており、「Form 3と比較して、Form 4の造形スピードは全材料で平均3.5倍向上しており、ほぼ全ての造形を2時間以内(※注2)で完了できる」(同社)。同社の評価テストによると、Form 3+で6時間54分かかっていたものが、Form 4だと2時間10分で造形が完了。さらに、これを1週間稼働させたところ、Form 3+では1週間で8パーツ、Form 4では24パーツ造形できることが分かったという。

※注2:80パーセンタイル高さ(53mm)のモデルを任意のレジンで積層ピッチ100μmで造形した場合の標準的な造形時間を指している。

 「LFDは、従来のLCD方式やDLP方式のいいとこ取りをした新しい方式だ。Form 3シリーズのLFSではレーザーを点で照射してレジンを硬化させていたが、Form 4で採用したLFDは面(レイヤー単位)で一気に硬化できるため造形スピードが非常に高速だ。また、3Dプリンタの駆動部もビルドプラットフォームの上下だけになったため、故障のリスクも低減される」(同社)

「Form 4」の新しいプリントエンジン「LFD(Low Force Display)」の動作原理について(撮影:MONOist編集部)

 このLFSの実現を支えているのが、Form 4に搭載されている(1)バックライトユニット、(2)ライトプロセシングユニット 4(LPU 4)、(3)リリーステクスチャ、(4)フレキシブルフィルムレジンタンク、(5)インテリジェント制御システム、(6)レジン自動供給システムだ。

 バックライトユニットは60個ものLEDから照射される高出力光をバッフル板とレンズアレイを通すことで均一かつ並行な照射を実現し、高速造形、精度、品質確保に寄与する。「耐用期間も非常に長く、照射時間にして6000時間、レイヤー換算すると一般的な材料で最大500万層の造形まで対応できる」(同社)。そして、LPU 4がバックライトユニットから照射された光をピクセルサイズ50μmの高精細LCDに通してレイヤーの形状にマスクし、必要な部分にだけ光を届ける。LPU 4についても耐用期間が長く、材料により異なるがおよそ60万〜150万層の造形まで耐えられる仕様となっている。

バックライトユニット(1)バックライトユニット(2) バックライトユニットを構成するLED(左)とレンズアレイ(右)[クリックで拡大]
ライトプロセシングユニット 4(LPU 4)
ライトプロセシングユニット 4(LPU 4)[クリックで拡大]

 レイヤーを1層作るのに照射、剥離、収縮、混合の4ステップが行われ、これを繰り返すことで積層していく。リリーステクスチャはビルドプラットフォームが上昇する剥離のステップで効果を発揮するもので、同社独自のマイクロテクスチャ光学フィルムによって、レジンタンク底部のフィルムとLPU 4との間に空気の通り道を作り、造形品にかかる剥離力を低減させる。フレキシブルフィルムレジンタンクは、新たに積層されたレイヤーがタンク底部から剥離される際に、柔らかいフィルムがわずかに持ち上がり、たわむことでレイヤーの端から優しく引き剥がし、造形品にかかる剥離力を最小限に抑える。

庫内カメラ
庫内カメラ(赤丸部分)[クリックで拡大]

 さらに、これら一連の造形プロセスの実現を支えているのがインテリジェント制御システムとレジン自動供給システムだ。インテリジェント制御システムは、造形中の様子などを確認できる庫内カメラ、レジンタンク内の容量を計測するレジンレベルセンサー、材料や形状などに応じて造形速度と品質のバランスを最適化する荷重センサー、造形中のレジンの温度を監視するレジン温度センサー、タンク内の残留物を検知して造形失敗のリスクを低減する残留物検出センサー、Form 4本体の水平を保ちタンク内のレジン量の計測と供給をアシストするレベリングセンサーの6つで構成されている。

 レジン自動供給システムは、レジンタンク内のレジン量を計測し、容量が不足した際はレジンカートリッジのバルブを開放してレジンを自動供給。十分なレジン量になるまでこの動作を繰り返し、迅速かつ正確なレジンの供給を支援する。

周辺装置や関連製品もアップデート

 その他、Form 4のビルドプラットフォームのサイズにも対応する自動洗浄ツール「Form Wash(第2世代モデル)」が登場した。従来よりも撹拌(かくはん)機能が3倍向上しており、処理容量も拡大している。また、調整可能なホルダーにより、Form 4だけでなく、Formlabs製の旧ビルドプラットフォームとの互換性を保っている(参考価格:699米ドル/日本での価格は販売代理店へ要問い合わせ)。

「Form 4」と併せて発表された自動洗浄ツール「Form Wash(第2世代モデル)」の動作デモの様子(撮影:MONOist編集部)
ビルドプラットフォームを取り付けるホルダーの位置を調整できる(1)ビルドプラットフォームを取り付けるホルダーの位置を調整できる(2) ビルドプラットフォームを固定するホルダーの位置を調整できる仕様に[クリックで拡大]

 また、造形物をビルドプラットフォームから容易に取り外せるようリリースハンドルの付いた「ビルドプラットフォーム フレックス」も提供する。

ビルドプラットフォーム フレックス
ビルドプラットフォーム フレックスについて[クリックで拡大] 出所:Formlabs

⇒ その他の「3Dプリンタ」関連ニュースはこちら

前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る