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電子海図や自動操舵、救助用ビーコン……小型船舶の最新事情船も「CASE」(3/3 ページ)

「ジャパンインターナショナルボートショー2024」が開催された。この記事では、パシフィコ横浜会場の展示から、電子海図や自動操船関連機器、そして、陸とは異なる海洋での利用を考慮したデバイスを取り上げる。

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3日間漂流しても回収可能、海難救助用の携帯ビーコン

 QUADRA PLANNINGのブースでは、海難救助用携帯ビーコン「SEAKER」が紹介されていた。このビーコンは1週間以上の連続稼働が可能で、操船者が常に装着すれば、家族などが操船者(それはとりもなおさず船)の位置を遠隔から把握できる。


海難救助用携帯ビーコン「SEAKER」[クリックで拡大]

 また、ビーコン本体が単体で浮くことが可能で、PLB(Personal Locator Beacon:携帯用位置指示無線標識)のように海面から掲げる必要がなく、海面で漂っているだけでビーコンを広範囲に伝播(でんぱ)するので、落水事故で遭難者が意識を失っていても救助信号を発信できる。実際に3日間漂流した事例でも、ビーコンが安定して信号を発信し続け、最終的には15km以上離れた場所で回収されたという。


実際の運用ではフローティング構造のハウジングに収納してライフジャケットやオイルスキンに装着する[クリックで拡大]

 SEAKERが発信した信号は専用のビーコン基地局で受信した後、ソニーセミコンダクタソリューションズのビーコンソリューションを経由してスマートフォンなどで確認することになる。このビーコン基地局は日本国内に700基以上設置されて人口の95パーセントをカバーし、既に河川監視や農場管理に活用されているが、海域はまだ十分にカバーされていない。

 そのため、海域でのカバー範囲拡大のため、ソニーセミコンダクタソリューションズでは長距離通信が可能でかつ電池の消費が少ないビーコン基地局の開発を進めるとともに、SEAKER開発ベンダーでも基地局の設置に取り組んでいる。特に、石垣島にある沖縄県内で最も高い山に設置したことで100km以上の通信範囲を確保し、西表島から宮古島までの広範囲がカバーされたことで八重山地方のほとんどがエリアに含まれるようになったという。


SEAKERが発信するビーコンを陸側の基地局で受信した後、基地局が接続しているインターネットを介して登録したユーザーのタブレットやスマートフォンでトラッキングすることが可能だ[クリックで拡大]

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