SUBARUが深層学習によるAI構築ツールを導入、プレス領域の成形解析工数の削減へ:CAEニュース
サイバネットシステムは、SUBARUが深層学習によるAI構築ツール「Neural Concept Shape」を導入したと発表した。導入により、プレス領域の成形解析にかかる工数を削減する。
サイバネットシステムは2024年3月27日、SUBARUが深層学習によるAI(人工知能)構築ツール「Neural Concept Shape(NCS)」を導入したと発表した。導入により、プレス領域の成形解析にかかる工数を削減する。
NCSは、同社が販売、サポートする深層学習ベースのソフトウェア。AIが既存の形状パターンやシミュレーションデータを学習し、サロゲート(代理)モデルを構築する。最短数ミリ秒で、設計変更に対する予測結果を出力できる。
NCSを導入したSUBARUでは、多様な自動車の生産を2028年までに開始することを目標に、新しい車種の開発期間短縮に取り組んでいる。
現在は、設計段階でCAEによる机上検討を繰り返すことで、生産準備段階の不具合のつぶし込みを行い、フロントローディングを実施しているが、開発期間をさらに短縮するには机上検討の工数を削減する必要がある。しかし、安全な自動車づくりに欠かせないCAEを用いたプレス領域の成形解析は、解析にかかる時間が最大48時間と長く、解析結果のフィードバックに1〜2週間ほどかかっていた。
こうした課題を解決するため、プレス領域で実施しているCAE解析の一部に替わる技術として、NCSの概念実証実験を実施。各種の設計パターンや物性データなどの学習用データを、金型のダイフェース形状設計に必要なブランク材(被加工材)の板厚減少率の評価で利用し、AIによる予測精度と解析速度を検証した。
実証実験の結果、ある特定の形状でCAEとほぼ同等の予測精度を保ちながら、3時間かかっていた解析速度を2分まで短縮した。実験は限定された部分の予測だったが、今後CAEと同等の性能を得るために、NCSの予測範囲を広げていく。最終的には、開発車全体のプロセス短縮を目指し、同社との技術構築を検討している。
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