過酷な資源ごみのビン色選別を自動化、PFUがイメージスキャナー技術から新規事業:人工知能ニュース(2/2 ページ)
PFUは、廃棄物の分別を自動化する「廃棄物分別特化AIエンジン」シリーズの第1弾として、ビンの色選別を自動化する「Raptor VISION BOTTLE」の提供を開始する。世界シェアトップのイメージスキャナー開発で培った独自アルゴリズムによる99.8%という高い認識精度が最大の特徴だ。
「資源ごみAI自動選別機〜AI・B-sort〜」は片持ち構造により導入が容易
これらの特徴を持つRaptor VISION BOTTLEを採用したのが、高松機械工業が開発した資源ごみAI自動選別機〜AI・B-sort〜である。ベルトコンベヤーを流れてくるビンの識別をRaptor VISION BOTTLEで行い、識別したビンのピッキング位置を特定してロボット側に通知し最終的なビンの色選別を行う。ピッキングはエア吸着で行い、選別数は最大3種類、1選別アーム数は2本、1分当たりのピック数は最大70本。1選別分の機械サイズは、幅2806(Raptor VISION BOTTLEのユニットで1506mm+ロボット部で1300mm)×奥行き2600×高さ2100mm(制御ボックスは含まない)。重量は1450kg。電源は三相200Vを使用する。
なお、Raptor VISION BOTTLEのユニット、ロボット部とも片持ち構造になっており、既設ラインに変更を加えることなく導入できることも特徴になっている。
Raptor VISION BOTTLEのビジネスモデルとしては、高松機械工業の事例のように機械メーカーが開発する装置に組み込む形で事業展開を拡大していきたい考え。最終ユーザーとなるのは、全国に3056施設ある産業廃棄物の中間処理施設だ。
現時点で、高松機械工業の資源ごみAI自動選別機〜AI・B-sort〜は、東北を拠点にリサイクル事業を展開する青南商事の導入が決定している。また、Raptor VISION BOTTLEとしては、2024年内に関東地区と九州地区に拠点を置く2社、2025年に関東地区の自治体による採用が計画されている。PFUは、2025年度までの2年間で、これらを含めて10施設への納入を目標としている。
さらに、廃棄物分別特化AIエンジンの事業展開として、Raptor VISION BOTTLEだけでなく、全国の中間処理施設で課題となっているリチウムイオン電池の発火を事前に検知できる仕組みや、より幅広い産業廃棄物の選別まで適応領域を広げていく方針である。
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