ThinkPad新製品に見るレノボのサステナビリティ、セルフ部品交換や再生素材の採用拡大など:サステナブル設計(2/2 ページ)
レノボ・ジャパンは「ThinkPadシリーズ」の新製品として、フラグシップノートPCの最新モデル「ThinkPad X1 Carbon Gen 12」など全14機種を発表した。本稿では、新製品に採用された同社のサステナビリティに関する取り組みを中心に紹介する。
リサイクルカーボンファイバーを天板フレームに採用
「再生素材の使用」に関しては、ThinkPadシリーズ新製品の全てにおいて、リサイクルマグネシウムやリサイクルアルミニウム、リサイクルプラスチックなどの再生由来素材を筐体部品に採用しているという。さらに、フラグシップノートPCの最新機種であるThinkPad X1 Carbon Gen 12では、航空機の製造現場などから出たカーボンファイバー(炭素繊維)の端材を天板のフレーム部の原料として再利用している。カーボンファイバーの含有量はThinkPadの衝撃/落下テストの結果を踏まえて調整を行っており、十分な強度と堅牢(けんろう)性が担保されているという。その他にも、キーキャップやスピーカー、バッテリーフレーム、ACアダプターをはじめとする多くの内部部品にも再生由来素材が採用されている。
「電力効率の改善」については、一例として、ThinkPad X1 Carbon Gen 12およびThinkPad X1 2-in-1 Gen 9で4K MIPIカメラを選択した場合に利用できる「Computer Vision 2.0」による機能を紹介。AIがユーザーの動きを読み取り、ディスプレイの消灯や離席時の自動ロック/着席時の自動ログインを実現するもので、利用者のみを顔認識して反応するため消費電力の低減だけでなく、セキュリティの強化にも役立つ。さらに、外部ディスプレイと接続して利用する際には、視線が外部ディスプレイに向くとPCのディスプレイの輝度を自動で下げるといったことも行うという。
その他、設計/デザイン面での注目ポイント
その他、ThinkPadシリーズ新製品における設計/デザイン面でのポイントとしては、ThinkPad X12 Detachable Gen 2を除く全ての機種でアスペクト比16:10の4辺狭額縁ディスプレイを採用し、背面排気デザインに統一されている。また、4辺狭額縁と高画質カメラ体験を両立するコミュニケーションバーデザインを採用している。
さらに一部の機種では音量ボリュームキーやエンターキーなどにポジションバー(突起)が追加され、キーボードのアクセシビリティーが強化されている。同じくインプット体験の磨き上げとして、クリックパッド(タッチパッド)も大型化しており、ThinkPad X1 Carbon Gen 12およびThinkPad X1 2-in-1 Gen 9では、一般的な3つボタンクリックパッドの他、感圧式クリックパッドが選択可能になっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「ThinkPad」開発で実践するサステナブルなモノづくり
レノボ 大和研究所が推進する「ThinkPad」開発における環境負荷低減、サステナビリティの実現に向けた取り組みを紹介する。 - 「ThinkPad」が世界に発信する日本のモノづくり力、折り畳みノートPCもさらに進化
レノボ・ジャパンがオンラインで会見を開き、初代モデルの発売から30周年を迎えるビジネスノートPC「ThinkPad」の歴史を振り返った。また、ThinkPadの先進技術を実現する上で重要な役割を果たしてきた協業パートナーである東レ、シャープディスプレイテクノロジー、クラレが登壇し採用技術を紹介した。 - 大和研究所、再生材使用率95%のリサイクル材料や低温はんだを「ThinkPad」へ
レノボ・ジャパンは、オンライン記者説明会「レノボ大和研究所 サステナブルな製品開発について」を開催し、「ThinkPad」に代表されるレノボ製PCにおけるサステナブルな製品開発の取り組みと、パートナー企業との協業により実現した環境負荷を低減させる要素技術について説明した。 - まずは動くものを作って見せる、4代目サイトリーダーが語る大和研究所の製品開発
レノボ・ジャパンは「ThinkPadシリーズ」の開発拠点であり、次世代PC開発の要である「大和研究所」の新サイトリーダー着任に伴い、記者説明会を開催。新サイトリーダーを務める同社 大和研究所 執行役員 Distinguished Engineerの塚本泰通氏が、大和研究所の全体概要やイノベーション創出に向けた取り組みなどについて紹介した。 - 曲がるだけじゃない、PCの新ジャンルを切り開く「ThinkPad X1 Fold」の価値
いわゆる「曲がるディスプレイ」を搭載した製品が2019年から市場投入され始めている。レノボが2020年10月に発売した折りたたみ可能なPC「ThinkPad X1 Fold」は、単に折りたたみ可能なだけではない、コロナ禍の中でPCの新ジャンルを切り開く可能性を持つ製品に仕上がっている。 - G-SHOCK 40周年モデルはパッケージもとことんエコ、カシオの環境配慮への取り組み
2023年で誕生から40周年を迎えたカシオ計算機の耐衝撃ウォッチ「G-SHOCK」シリーズの40周年モデルに採用された“エコパッケージ”の取り組みについて、同社 羽村技術センター 開発本部 開発推進統轄部 第一開発推進部 11開発推進室の工藤之欣氏に話を聞いた。