ペロブスカイト太陽電池と半固体電池を搭載した新型空気質センサー:組み込み開発ニュース
マクニカは、ペロブスカイト太陽電池を搭載した、新型の空気質センサーを開発した。半固体電池の内蔵により長寿命と安全性を確立し、ペロブスカイト太陽電池の軽さと柔軟性を表現したデザインを採用している。
マクニカは2024年3月5日、ペロブスカイト太陽電池を搭載した新型の空気質センサーを開発したと発表した。
新型センサーは、同社の従来品より発電効率を向上したペロブスカイト太陽電池を大面積で実装することで、発電量の増加に成功した。また、日本ガイシ製の半固体電池を内蔵し、長寿命と安全性の確立を図った。
センサーのサイズは88×161×58.5mmで、ペロブスカイト太陽電池の軽さと柔軟性を表現したデザインを採用している。
ペロブスカイト太陽電池は、屋内の低照度下でも高効率に発電する。軽量かつ薄くて曲がりやすく、材料によって半透明にできる特性を備えるため、次世代太陽電池として注目されている。
同社は、ペロブスカイト太陽電池と、微弱な電力を効率よく蓄電する半固体電池、低消費電力で作動する高性能な半導体を用いて、持続可能なIoT(モノのインターネット)環境発電(エネルギーハーベスティング)センサーの開発を進めている。
2023年6月から、ペロブスカイト太陽電池を用いた空気質センサーを東京都の執務室内に設置し、その有効性を実証してきた。新型センサーには同実証で得られた知見が生かされている。
2024年2月からは、同執務内に新型センサーを設置して、CO2や温湿度、照度などの空気質モニタリングを実施している。今後、新型センサーは同社が事業展開する空気質モニタリングソリューション「AiryQonnect(エアリーコネクト)」のセンサーの一部として組み込まれる予定で、空気質改善による生活の質の向上に貢献する。
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