シャープが初参入のキャッシュレス決済端末、顧客側端末はなぜ横長なのか:リテールテックJAPAN 2024
シャープとNTTデータは、「リテールテックJAPAN 2024」において、両社で共同開発したキャッシュレス決済端末と遠隔管理システムを披露した。
シャープとNTTデータは、「リテールテックJAPAN 2024」(2023年3月12〜15日、東京ビッグサイト)において、両社で共同開発したキャッシュレス決済端末と遠隔管理システムをそれぞれの展示ブースで披露した。シャープがスマートフォン「AQUOS」の開発で積み重ねてきた技術力と、国内最大級のキャッシュレス決済総合プラットフォーム「CAFIS」を展開するNTTデータのノウハウを融合しており、2024年秋以降の市場投入を予定している。シャープはリテール分野向けの製品としてPOS端末などを展開してきたが、キャッシュレス決済端末は初参入となる。
開発したキャッシュレス決済端末は、店舗側スタッフがさまざまな操作や管理に用いる端末と、顧客がカード挿入や電子マネーの読み取り、暗証番号入力などを行う端末の2つに分かれているセパレートタイプとなっている。スタッフ側端末は、コンパクトなボディーに6インチの大型ディスプレイを搭載し、限られたスペースにも柔軟に設置できるとともに高い視認性と快適な操作性を両立した。
スタッフ側端末の外形寸法は、幅94×奥行き161×高さ87mmで一般的なスマートフォンと同様に縦長であるのに対して、顧客側端末の外形寸法は幅117×奥行き82×高さ49mmで横長になっている。「顧客側端末の設置性を高めるためのコンパクトさと、カメラを用いた2次元コード/バーコードの読み取りや暗証番号入力などでの高い操作性を両立するためには横長形状がいいと判断した」(シャープの説明員)。唯一、磁気カードの読み取りについては、縦方向ではなく横方向にスワイプすることになるため使い勝手は縦長の端末よりも悪くなるが「顧客側端末で磁気カードを使う機会はほぼなくなっているので、ほとんどの場面でコンパクトな横長端末の優位性が生きてくるだろう」(同説明員)としている。
また、顧客側端末については、横からののぞき見を抑制するベールビュー技術やタッチ操作に連動して振動するハプティクス技術を搭載しており、AQUOSの技術が生かされている。
NTTデータは、キャッシュレス決済総合プラットフォームのCAFISを展開する中で、これまでは決済端末として海外製のハードウェアを採用してきた。しかし「さらなる利便性や提供サービスの向上を図る上で、CAFISとより深い連携が可能な決済端末も必要だと感じていた。そこで、キャッシュレス端末でも広く用いられているAndroidベースのスマートフォンの開発で高い技術を持つシャープと協業することを決めた」(NTTデータの説明員)。より深い連携の一例となるのが、共同開発の新型キャッシュレス決済端末で利用可能なTMS(ターミナルマネジメントシステム)で、遠隔から端末の稼働状況をモニタリングできるようになっており、故障などトラブル発生時の迅速な解決が可能だという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- シャープ傘下のAIoTクラウドが工場向け遠隔監視サービス、ソラコムと連携
AIoTクラウドは、IoT向け通信プラットフォームを展開するソラコムとの連携により、工場設備の巡回/点検業務を効率化する「WIZIoT遠隔監視サービス」を2024年2月1日から提供する。 - シャープとファーウェイが5Gなどの通信必須特許で長期クロスライセンス契約
シャープと中国のファーウェイは、4Gおよび5Gを含むセルラー通信規格必須特許を対象とする長期間かつグローバルな特許クロスライセンス契約を締結したと発表した。 - シャープがローカル5Gシステムを提供、設計から保守までワンストップで対応
シャープは、システム設計から基地局設置、メンテナンスまでワンストップで対応する、ローカル5Gシステムを提供する。 - 難燃性の再生プラはコスト抑制にも貢献、シャープが独自技術でアップサイクル
シャープは「CEATEC 2023」で、同社独自の技術で実現した、廃棄プラスチックに難燃性を付与してアップサイクルを行った取り組みを展示した。 - さまざまな家電の性能アップに貢献しているシャープの生物形態模倣技術
シャープは「CEATEC 2023」のアドバンスドテクノロジーエリアに出展し、15年の歴史を誇る同社独自の生物形態模倣技術「ネイチャーテクノロジー」の歩みと新プロダクトについて訴求していた。 - シャープのフロー型亜鉛空気電池、エネルギー密度はリチウムイオン電池と同等
シャープは「CEATEC 2023」において開発中のフロー型亜鉛空気電池を披露した。リチウムイオン電池と同程度のエネルギー密度を有するとともに大容量化が容易であり、発火の可能性が極めて低いことなどを特徴としている。