外観検査を効率化するMLA技術や多種AMRの一括制御技術など、OKIが新技術を公開:イノベーションのレシピ(2/2 ページ)
OKIは、技術開発拠点であるOKI蕨システムセンター(埼玉県蕨市)で、研究開発中の先端技術や取り組みを紹介する「OKI OPEN LAB 2024」を開催した。
複数メーカーのAMRを上物含めて一括制御、搬送を低コストで自動化
製造現場で活用するさまざまな技術も出展した。その中でも特徴的だったのが、工場の自動搬送を柔軟かつ低コストで実現するAMR(自律搬送ロボット)の一括制御技術だ。OKIでは、製造工程において独自のMES(製造実行システム)である「OPTAS」を独自開発し運用しているが、新たに開発した「RAT(Robot Arm Transporter)Manager」では、複数のメーカーや機種のロボットを一括で制御し、AMRの移動を制御するとともに、AMRに搭載されたアームなど上物も併せて制御できるようにした。OPTASとRAT Managerを組み合わせることで、工程の作業状況に合わせて自動で搬送用ロボットがパーツや完成品を引き取りに移動し、荷物の受け渡し作業なども自動で行えるようになるという。
OKIでは、同システムを2021年から順次、本庄工場や小諸工場などで導入しており、今後さらに富岡工場や沼津工場、沖電線、OTC上越工場など各拠点で展開していく。既にねじトレイの搬送や、グリスパレットの搬送、重量物台車のけん引、基板部材の搬送などさまざまな用途で使用もしくは試用されているという。
「現状ではAMRの制御はAMRメーカーごとに構築するケースが多く、複数メーカーのロボットを同じシステムで動かそうとすると難しいケースも多かった。それに対し、RAT Managerのような上位システムでコントロールすることにより、搬送ニーズに応じた各社のロボットを用途やコストに応じて使い分けることができるようになる。また、既に導入済みのロボットを有効活用し最低限のカスタムで迅速に導入することなども可能だ。上物の制御についてはROS(Robot Operating System)対応であれば、一括制御が可能だ」(説明員)としている。
光関連の応用技術も出展、シリコンフォトニクスなど
研究開発中の光関連の応用技術なども出展した。その1つが、超高感度の光ファイバーで歪みや温度を検知するセンサー技術だ。これは1με(マイクロイプシロン)以下の精密な光制御技術を活用し、光ファイバーに張力がかかったことを検知する技術で、数十kmの計測レンジを持つ。そのため、トンネルや橋梁、道路などのインフラの点検や異常検知での活用が期待されている。また、光ファイバーを使った振動センサーなども用意する。
「光ファイバー網におけるダークファイバ―を活用することで、敷設などに大きな負担がかかることなく、大規模建造物などの異常を一括で把握できる点などが特徴だ。まだ研究開発段階だが、今後検証を進めていく」(説明員)としている。今後はまず研究開発用の試作機の開発と現場実証を進めていくとともに、ソリューションの形を検討するという。
将来的な光電融合の世界拡張に向け、光集積回路を使用した超小型光学システムを共通基盤化した光プラットフォームなども出展。同システムを使うことで、光ファイバーセンサーや、多点型レーザー振動計、光バイオセンサー、次世代光アクセスネットワークなど、さまざまな光電融合デバイスの小型化や低消費電力化などの実現を目指している。
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