DXで中から外へのサイクルを回す、OKIがDXで中期計画にも織り込んだ成長への布石:製造マネジメントニュース
OKIは、DXに関する新たな戦略「OKI DX戦略2025」を発表した。内部の業務プロセス改革などの成果を外部に展開するサイクルを構築し、将来事業創出のための価値創造につなげていく方針だ。
OKIは2023年8月30日、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する新たな戦略「OKI DX戦略2025」を発表した。内部の業務プロセス改革などの成果を外部に展開するサイクルを構築し、将来事業創出のための価値創造につなげていく方針だ。
OKIでは2022年6月に全社を横断する形でDX戦略を発表。ただ、当時は中期経営計画の最終年度で、経営計画として最初から織り込まれた形ではなく、それぞれの事業部が個別に取り組んできたものをまとめた形となっていた。
今回新たに発表したDX戦略は2023年5月に発表された新たな「中期経営計画2025」に最初から織り込まれたもので、その中で将来に向けた成長戦略の重要な役割を担う位置付けとなっている。OKI 理事でデジタル責任者(CDO)の坪井正志氏は「DXを新たな価値創造の手段と位置付け、経営戦略と深く関連させているのが今回の特徴だ。デジタル技術を使って企業や社会に大きな変革をも足らることを目指す」と述べている。
社内革新の成果を外部に展開
具体的な取り組みについては、2022年に発表したDX戦略の内容を基本的には踏襲した。OKIのDX戦略の特徴は、デジタル技術を使った社内革新の成果を外部に展開していく一連のサイクルを「外部化」としてモデル化していることだ。
それを「業務プロセスの変革」「組織の変革」「新ソリューション創出」「既存ソリューション強化」の4つの象限で表現し、これらを関係させながらサイクルを回していくことで、新たな価値創出と将来事業の創出に取り組む。
例えば、新ソリューション創出としては、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)を駆使したエッジ(現場)ソリューションを展開する。具体的にはエッジで情報を集約するエッジプラットフォームの構築とそれを生かした社会課題解決に取り組む。アナログ(光、音、無線)とAI処理によるセンシング技術、高品質で耐環境性能を持つデバイスやモビリティ技術、AIエッジデータをネットワーク技術で集め付加価値を拡大するプラットフォーム技術などを生かし、現場データの徹底した活用を推進する。これらのデータ活用基盤をベースに業務特化型アプリなどを展開し社会問題解決につなげていく。
業務プロセスの変革としては、さまざまな生産改革に加え、複数の工場を1つにあたかも1つの工場である「バーチャルOneファクトリー」を推進しているが、そこから得られたノウハウの外部展開も進める。バーチャルOneファクトリーを実現するために複数工場間での生産移行性を確保し、代替生産などを可能とする。また、オンライン接続により、遠隔拠点への作業教育や工程確認のリモート化を推進。海外工場の生産状況や品質状況を国内のコックピットなどで確認できるようにする。これらは既に、コロナ禍での移動の制限に対応するために一部で実現しており、ノウハウを外部展開する。
デジタル技術を活用した内部の革新をさまざまな形で推進していくとともに、既存事業の強化と新規事業の創出を進めていく。坪井氏は「重視しているのは将来事業の創出と価値創出だ。以前は“DX売り上げ”のようなことを掲げていたこともあったが、全ての業務にデジタル技術が関わるようになる中、DX売り上げを切り出すことは難しい。中期計画に貢献する将来事業を作っていくことが、戦略の目標だ」と述べている。
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