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日系メーカーの新車生産は本格的に回復、コロナ禍前に届かない企業も自動車メーカー生産動向(1/4 ページ)

半導体不足などサプライチェーンの混乱で長らく低迷していた自動車生産が本格的な回復を見せている。日系乗用車メーカー8社の2023年の世界生産合計は、3年連続で前年実績を上回った。半導体不足が緩和し、国内生産や北米生産の回復がけん引した。

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 半導体不足などサプライチェーンの混乱で長らく低迷していた自動車生産が本格的な回復を見せている。日系乗用車メーカー8社の2023年(1〜12月)の世界生産合計は、3年連続で前年実績を上回った。半導体不足が緩和し、国内生産や北米生産の回復がけん引した。ただ、電気自動車(EV)シフトが進み販売競争が激化した中国は、商品投入で出遅れた日系メーカーが販売で苦戦し、大幅な減産を余儀なくされた。

 2024年も半導体の供給改善で全体的には回復基調が見込まれるものの、足元ではダイハツ工業や豊田自動織機の不正問題が発覚し稼働停止が続いている他、中国市場での低迷もしばらく続くことが予想されるなど、不安材料も抱えている。

→「自動車メーカー生産動向」のバックナンバーはこちら

2023年は前年比7.6%増

 2023年の世界生産の8社合計は、前年比7.6%増の2579万6411台だった。ダイハツを除く7社が前年実績を上回った。年を追うごとに回復しており、2022年は前年比で1.8%増だったが大きく伸長した。ただ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大前の2019年との比較では7.2%減という実績だ。これは中国事業の低迷に加えて、半導体不足の影響が続いたことが要因となった。

2023年1〜12月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 3,370,752 6,662,419 2,005,316 1,752,748 10,033,171
26.9 4.6 9.5 ▲ 4.7 11.1
ホンダ 718,521 3,469,518 1,559,981 1,265,952 4,188,039
11.6 7.5 30.1 ▲ 11.1 8.2
日産 718,527 2,725,637 1,220,985 779,756 3,444,164
28.5 1.3 31.3 ▲ 19.2 5.9
スズキ 995,948 2,229,048 - - 3,224,996
8.3 ▲ 1.0 - - 1.7
ダイハツ 820,965 848,265 - - 1,669,230
▲ 5.5 2.4 - - ▲ 1.7
マツダ 839,170 414,484 264,082 84,448 1,253,654
14.2 16.1 47.4 ▲ 10.3 14.8
三菱自 500,638 523,372 - 3,367 1,024,010
13.6 ▲ 8.4 - ▲ 90.3 1.1
スバル 608,327 350,820 350,820 - 959,147
8.1 22.6 22.6 - 13
合計 8,572,848 17,223,563 5,401,184 3,886,271 25,796,411
16.1 3.9 22.1 ▲ 12.7 7.6
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は米国、カナダ、メキシコの合計

 このうち国内生産は、前年比16.1%増の857万2848台と大きく伸長し、5年ぶりにプラスへ転じた。仕入れ先工場の火災や認証試験不正で稼働を停止したダイハツを除く7社が前年実績を上回った。大幅増の要因は半導体の供給改善の他、中国でのロックダウンやゼロコロナ政策などによる前年のサプライチェーン混乱の反動が表れた。ただ、コロナ禍前の2019年との比較では国内生産は7.0%減にとどまっており、国内の生産能力を考えるとさらなる台数増も期待される。

 また、国内生産の回復により輸出も増加し、受注が好調な北米や中近東、欧州向けが伸長した。それでも輸出台数としては初めて中国に抜かれ、世界最大の自動車輸出国の座を明け渡す格好となった。

2023年の海外生産

 2023年の海外生産も、前年比3.9%増の1722万3563台と3年連続のプラスだ。スズキと三菱自動車を除く6社が前年実績を上回った。2019年との比較では7.3%減にとどまった。北米は旺盛な需要に部品供給が改善したことで大きく回復し、同22.1%増の540万1184台と2年ぶりに増加した。

 一方、中国は前年のロックダウンの反動が期待されたものの、市場のEVシフトにより、ハイブリッド車(HEV)を得意とする日系メーカーは苦戦。現地メーカーによる激しい価格競争も販売低迷を加速させ、中国で生産する5社全てが前年割れとなり、5社合計は前年比12.7%減の388万6271台と3年連続のマイナスだった。深刻な販売低迷を受けて、マツダが現地企業への生産委託を2023年4月で終了した他、2023年3月から現地工場の稼働を停止していた三菱自動車は中国での車両生産および販売から撤退するなど、生産体制を再編する動きが目立っている。

2023年12月の状況

 足元でも回復傾向は変わらない。2023年12月単月の8社合計の世界生産は、前年同月比11.2%増の203万3146台と11カ月連続で増加した。トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、マツダ、SUBARU(スバル)の5社が前年実績を上回った。国内生産は、8社合計が同6.7%増の70万5248台と12カ月連続のプラス。トヨタ、ホンダ、日産、スズキ、マツダの5社が増加した。

 国内以上に好調なのが海外生産で、前年同月比13.7%増の132万7898台と3カ月連続のプラスだった。トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、スバルの5社が前年実績を上回っており、北米での生産が同15.9%増と12カ月連続で増加するなど好調で、さらに中国も前年のゼロコロナ政策の反動増の影響が大きく、同58.5%増と2カ月連続のプラス。2大主要市場がけん引する格好となった。

2023年12月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 270,802 531,588 127,103 168,190 802,390
22.2 12.2 10.5 30.5 15.4
ホンダ 69,261 279,414 107,643 121,238 348,675
24.2 33.7 25.0 65.7 31.7
日産 61,198 212,321 77,985 85,316 273,519
3.9 31.2 6.3 153.6 23.9
スズキ 89,212 140,412 - - 229,624
7.4 ▲ 6.5 - - ▲ 1.6
ダイハツ 52,219 68,903 - - 121,122
▲ 33.1 ▲ 17.0 - - ▲ 24.8
マツダ 66,713 35,613 20,257 11,693 102,326
7.0 26.4 23.3 113.9 13.0
三菱自 41,624 33,677 - 0 75,301
▲ 5.6 ▲ 21.2 - - ▲ 13.3
スバル 54,219 25,970 25,970 - 80,189
▲ 5.3 37.9 37.9 - 5.4
合計 705,248 1,327,898 358,958 386,437 2,033,146
6.7 13.7 15.9 58.5 11.2
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は米国、カナダ、メキシコの合計

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