Simulation Governanceの活用カテゴリー「活用場面」の診断結果:シミュレーションを制する極意 〜Simulation Governanceの集大成〜(7)(1/4 ページ)
連載「シミュレーションを制する極意 〜Simulation Governanceの集大成〜」では、この10年本来の効果を発揮できないまま停滞し続けるCAE活用現場の本質的な改革を目指し、「Simulation Governance」のコンセプトや重要性について説く。引き続き、各サブカテゴリーの項目のポイントやレベルの意味を解説しながら、詳細な診断データを眺めていく。連載第7回では、活用カテゴリーの「活用場面」に着目する。
今回から、元ダッソー・システムズの工藤啓治として、執筆させていただきます。私事ではございますが、2024年1月末日をもってダッソー・システムズを定年退職し、個人コンサルタントとして活動しております。引き続きよろしくお願いいたします。
さて、前回までは「技術カテゴリー」に着目してきましたが、今回からは4カテゴリーの中で最重要ともいうべき「活用カテゴリー」に移ります。
準備説明:VプロセスでのCAE活用場面と効果度
どんなに優れた道具があっても、それを効果的に活用する手段を持たない限り、道具の良さを発揮できません。優れたWhatと、効果的なHowの組み合わせにより、最高の成果が出るのです。これまで同様、「活用場面」の各項目の詳細データとヒストグラムを以下の図表に記します(図1、図2)。
はじめに、活用場面の意味をご理解いただくために、“CAEが設計開発全体のどの段階で用いられているか”と“その効果度合い”を一緒に考えてみましょう。図3は、皆さまよくご存じのVプロセスです。3D出図をV字の下の頂点に配置し、その左側がバーチャル技術で設計するプロセス、右側が試作〜実験検証〜量産に至るリアルなモノづくりのプロセスを示しています。
CAEはVプロセスのあらゆる領域で活用されていますので、その意味では素晴らしいに違いないのですが、“より良い設計を効果的に支援する”というCAE本来の目的から見ると、その効果は適用プロセスとその活用目的によって、随分と異なってきます。
以降、Vプロセスの一番右側の量産に近い場面から説明していきましょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.