3Dプリンタ活用の価値を設計×解析×製造技術で高めるSOLIZEの提案:TCT Japan 2024
SOLIZEは「TCT Japan 2024」に出展し、国内自動車メーカーによる事例や3Dプリンタを活用した設計製造提案の取り組みなどを紹介していた。
SOLIZEは「3Dプリンターを使いこなす技術」をテーマに、3Dプリンティング&AM(アディティブマニュファクチャリング)技術の総合展「TCT Japan 2024」(会期:2024年1月31日〜2月2日/会場:東京ビッグサイト)に出展し、国内自動車メーカーによる事例や、3Dプリンタを活用した設計製造提案の取り組みなどを紹介していた。
熱流体トポロジー最適化技術と熱流体解析を用いて設計
3Dプリンタを活用した設計製造提案に関する紹介では、“片面熱負荷のあるクーリングプレートの性能向上”をテーマに、熱流体トポロジー最適化技術と熱流体解析を用いて同社が設計し、金属3Dプリンタで製造した「省スペース・高熱伝達 クーリングプレート」の可視化、体験デモを実演していた。
オリジナルの中空パネル、熱流体トポロジー最適化のみ施したクーリングプレート、熱流体トポロジー最適化と基本構造の調整を図ったクーリングプレートによる冷却効果の検証結果の比較[クリックで拡大] 出所:SOLIZE
同社はこのデモ環境を構築するに当たり、次の3つの設計パターンに対して解析と実測を行い、それぞれの冷却効果の検証結果(プレート表面の平均温度)を示した。
まず、オリジナルのクーリングプレート(中空パネル)は、冷却水が流れるプレート内部の流路が一直線で、解析結果によると流れが中心部に集中して辺縁部に渦が発生しており、温度のバラツキが大きく、プレート表面の平均温度は56.9℃を示した(実測では53.8℃)。
次に、前述のオリジナル中空パネルを基に、熱流体トポロジー最適化“のみ”を施したクーリングプレートでは、内部の流路が有機的に枝分かれした形状になったものの、解析結果によると冷却水の流れはまだ中心部に集中しており、温度のバラツキも大きくは解消しておらず、プレート表面の平均温度は47.9℃だった(実測では48.9℃)。「この結果から分かる通り、熱流体トポロジー最適化のみでは十分な冷却効果が得られないため、最適化とともに、基本構造自体の設計の見直しを図ることが重要となる」(説明員)。
そこで、熱流体トポロジー最適化と基本構造の調整を図ったパターンを設計し、解析してみたところ、冷却水が全体に分散して流れるようになり、温度のバラツキも小さく抑えられるようになったという。その結果、プレート表面の平均温度は44.8℃(実測では44.2℃)となり、何も対策を施していないオリジナルの中空パネルと比べて解析値で12.1℃、実測値で9.6℃の温度低下(冷却効果)が見られた。
この結果を踏まえ、展示ブースでは、金属3Dプリンタで造形したオリジナルの中空パネルを左側に、熱流体トポロジー最適化と基本構造の調整を図ったクーリングプレートを右側に配置し、赤外線サーモカメラの映像で冷却効果の違いを示していた。実際、手でオレンジ色の熱源部に触れてみると明らかな温度の違いを感じ取ることができた。
「SOLIZEは3Dプリンタを活用した部品の製作や製造支援を行っているだけでなく、設計技術や解析技術も有しており、それらを組み合わせた製造、製品開発の提案も行える。今回のデモを通じて当社の強みを感じてもらえればと思う」(説明員)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- オリックス・レンテック、大型金属造形や造形シミュレーションサービスを訴求
オリックス・レンテックは「TCT Japan 2024」に出展し、BLTの金属3Dプリンタで造形した大型サンプルやパーツ類を展示した他、造形シミュレーションサービス「3D-FABs」をはじめとする関連サービスについて訴求していた。 - SOLIZEが製造した3Dプリント製品がトヨタの純正オプション部品に採用
SOLIZEが製造した3Dプリント製品がトヨタ自動車の純正オプション部品に採用された。両社は3Dプリンタでの初の量産認定に向けて協力し、量産工場認定のための環境整備、工程管理、人材教育の体制を整えてきた。 - トヨタがHPの3Dプリンティングソリューション導入、試作や最終製品への適用検証
SOLIZEと日本HPは、トヨタ自動車が3Dプリンタによる試作品の製作および最終製品への適用を検証するため、HPの3Dプリンティングソリューション「HP Jet Fusion 5200シリーズ」を導入したことを発表した。 - 3DプリンタでR32型スカイラインGT-R用の補修部品を復刻生産
SOLIZEと日本HPは、日産自動車の生産終了となったヘリテージ車両の補修部品の共同開発とオンデマンドによる製造を開始する。3Dプリンティング技術「HP Multi Jet Fusionプラットフォーム」を用いて、R32型スカイラインGT-Rのハーネス用プロテクター(樹脂部品)を3Dプリンタで生産可能にした。 - 日産が語る、自動車製造における3Dプリンタ活用の期待と課題
日本HP主催の「HP デジタルマニュファクチャリング サミット 2020」のスペシャルパネルディスカッションにおいて、日産自動車の南部俊和氏とSOLIZE Productsの田中瑞樹氏が登壇。アディティブマニュファクチャリングを自動車の部品製造に適用する際の課題や現状の取り組み、今後の展望について、それぞれの立場で意見が述べられた。 - 3Dプリントの形状再現性を自動判定、3Dデータ評価システムを提供開始
SOLIZEは、STLファイルを基に3Dプリントの形状再現性を評価する、自動3Dデータ評価システムをオンラインで提供開始した。ユーザーがアップロードした3Dデータに対し、3Dプリントデータとしての評価を自動で行い、結果を回答する。