オリックス・レンテック、大型金属造形や造形シミュレーションサービスを訴求:TCT Japan 2024
オリックス・レンテックは「TCT Japan 2024」に出展し、BLTの金属3Dプリンタで造形した大型サンプルやパーツ類を展示した他、造形シミュレーションサービス「3D-FABs」をはじめとする関連サービスについて訴求していた。
オリックス・レンテックは3Dプリンティング&AM(アディティブマニュファクチャリング)技術の総合展「TCT Japan 2024」(会期:2024年1月31日〜2月2日/会場:東京ビッグサイト)に出展し、Xi'an Bright Laser Technologies(以下、BLT)の金属3Dプリンタで造形した大型サンプルやパーツ類を展示した他、造形シミュレーションサービス「3D-FABs」をはじめとする関連サービスについて訴求していた。
最大級の造形物を出力できるBLTの金属3Dプリンタ
BLTは中国に拠点を構える金属3Dプリンタメーカーで、装置の製造、販売だけでなく、自社で保有する380台(2024年1月時点)もの金属3Dプリンタを用いた出力サービスなども手掛けている。さらに、アジアで唯一のエアバス認証AM部品サプライヤーとしてエアバスの航空機部品の受託造形を担っており、高い技術力と品質に強みを持つ。オリックス・レンテックでは、2023年6月からBLT製3Dプリンタの国内販売権を取得しており、販売およびレンタルを行っている。
展示ブース正面では、大型部品の造形を得意とするBLT製金属3Dプリンタの優れた能力を訴求すべく、一体型アレイパネルとエンジン統合コンポーネントを展示していた。
一体型アレイパネルは、最大造形サイズ1500×1500×1200mmを誇る大型金属3Dプリンタ「BLT-S1500」で一体造形したもので、材料にはアルミニウム合金(AlSi10Mg)が用いられている。アレイパネルのサイズは1125×20×1300mmで、重さは約6kg。造形時間は380時間だという。内部はラティス構造になっており、剛性の確保と軽量化を両立させている。「BLT-S1500は、世の中にあるパウダーベッド(PBF:Powder Bed Fusion)方式の金属3Dプリンタの中でも最大級の造形物を出力できる」(説明員)。
エンジン統合コンポーネントは、最大造形サイズ800×800×600mmまで出力可能な金属3Dプリンタ「BLT-S800」で一体造形したもので、材料はニッケル合金(IN718)を用いている。エンジン統合コンポーネントのサイズはΦ(直径)800×400mmで、重さは約27kg。造形時間は150時間だという。
他にも造形が難しい純銅を用いた排気ノズルの造形サンプルなど、BLT製金属3Dプリンタで造形した多種多様なサンプルを展示していた。
より使いやすく進化する造形シミュレーションサービス「3D-FABs」
さらに、展示ブース側面では、2023年5月に提供を開始した3D-FABsの操作体験コーナーを展開し、多くの来場者の関心を集めていた。3D-FABsは、手持ちの3D CADデータをアップロードするだけで、造形姿勢やサポート材の付き方、造形時の注意点などをWebブラウザ上で確認できる造形シミュレーションサービスだ。アカウント登録さえすれば、誰でも無料で使うことができる。造形の可否判定から費用の概算までワンストップで行えるだけでなく、同社の受託造形サービスに正式見積もりを依頼したり、造形を発注したりすることも可能だ。「サービス提供を開始して以来、使い勝手をより良くするための改善や機能強化も継続して進めている」(説明員)。
間もなく登場予定の新機能としては、造形姿勢の設定をマニュアルで編集するのではなく、システム側で自動的に最適な姿勢を提案してくれるサポート機能を準備しているという。「3D CADデータを取り込んだままの状態で造形姿勢を編集しなかったり、自己流で姿勢を決めてしまったりすると、造形費用(概算)が高額になってしまい次のステップにつながらないケースがある。この新機能があればサポート材が少なく、安価に造形できる姿勢を決めてくれるため、初心者の方でも安心して使うことができる」(説明員)。
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