見通し外を飛行するドローンを169MHz帯通信で安全に制御する技術を開発：ドローン

情報通信研究機構（NICT）は、見通し外かつ携帯電話圏外の環境においてドローンを安全に制御する技術の実証実験に成功した。山中や海上、災害現場における設備点検、捜索、調査などでのドローン実用化を目指す。

[MONOist]

　情報通信研究機構（NICT）は2024年1月25日、見通し外かつ携帯電話圏外の環境においてドローンを安全に制御する技術の実証実験に成功したと発表した。

　同実験では、従来の2.4GHz帯電波より遠くに飛ばせる、169MHz帯電波で通信するマルチホップ中継制御通信技術を利用している。地上局から直接見通せない領域でも、中継用ドローンを経由することで、点検用ドローンへの制御信号送信と位置情報受信の双方向通信を維持できる。

マルチホップ中継制御通信技術の構成 出所：情報通信研究機構

　山中の砂防堰堤（えんてい）点検を想定した、片道約3.9kmの屈曲した沢筋にて実験した結果、全飛行経路で安全にドローンを制御、監視することに成功した。

　点検用ドローンと中継用ドローンに搭載する169MHz帯のアンテナにそれぞれ2本の地線を追加することで、長距離で安定した通信特性が得られた。また、中継用ドローンを適切な高度でホバリングさせると、点検用ドローンの通信エリアを拡大できた。これにより、地上局から見通し外となるエリアでも、ドローンを点検対象に接近させて撮影可能になった。

ドローン搭載アンテナ 出所：情報通信研究機構

点検用ドローンが撮影した砂防堰堤の映像の例 出所：情報通信研究機構（提供：建設技術研究所）

　169MHz帯電波は、今回実証した片道約3.9kmよりも、さらに長距離での通信が可能だ。山中だけでなく、海上や災害現場における設備点検、捜索、調査などでのドローン実用化が期待される。

　同機構は今後、システムの信頼性を向上し、見通し外でのより長距離における運用実績を重ねて、レベル3（補助者を伴う、無人地帯での目視外飛行）以上の飛行運用の普及に貢献する。

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