2024年は月面探査の記念碑的な1年に、失敗続く民間月面着陸もついに実現するか:MONOist 2024年展望(3/3 ページ)
2024年もさまざまな話題がある宇宙開発。中でも「月面探査」はさまざまな取り組みが行われ、記念碑的な1年となりそうだ。この他、「ロケット関連」「深宇宙探査」の動向も紹介する。
深宇宙探査:エウロパや小惑星を探査するミッションも
最後に、深宇宙探査の話題にも触れておこう。
まず紹介したいのは、NASAの探査機「Europa Clipper」である。これは名称の通り、木星の衛星であるエウロパを探査するというミッション。エウロパの厚い氷の地下には、広大な液体の海が広がっていると考えられている。地球外生命が誕生している可能性があり、この探査機は、生命誕生の条件がそろっているかどうかを調べる。
エウロパには着陸せず、木星を周回しながら、接近を何度も繰り返して表面の観測を行うという。まだ生命を直接的に見つけるわけではないが、果たして本当にこんなところに生命が存在できるのか、興味深い。打ち上げは、2024年10月の予定。木星への到着は2030年と、まだまだ先の話だが、気長に待つことにしたい。
またESA(欧州宇宙機関)は、探査機「Hera」を2024年10月に打ち上げる予定だ。目的地は、二重小惑星である「ディディモス」。この衛星「ディモルフォス」には2022年、NASAの探査機「DART」が衝突実験を行った。DARTが激突したことで、ディモルフォスはどう変化したのか。自転や衝突クレーターなどを詳しく調べる予定だ。
小惑星が地球に衝突することで大きな被害が出るというのは、現実的な脅威である。それを防ぐのがプラネタリーディフェンス(惑星防衛)。具体的には、大きな物体を高速でぶつけ、軌道をそらすことが考えられており、DARTは世界で初めてその効果を実際に宇宙で試したものだ。
Heraは、2026年に目的地へ到着する予定。Heraには、2機のキューブサット「Milani」「Juventas」が搭載されており、より近距離からの観測を行い、どちらも最終的には小惑星表面に着陸するという。こちらの成果も楽しみなところだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 月着陸の失敗にもめげない、ispaceが目指す持続可能な事業モデルとは
失敗なくして宇宙開発の成功なし。次にどうつなげるかが重要です。 - 2023年はispaceの月面への挑戦に注目、日本初の月面走行も実現するか
2023年もさまざまな話題がある宇宙開発。今回は、2022年に引き続き、「月面探査」「新型ロケット」「深宇宙探査」の3つをテーマに動向を見ていきたい。 - 2022年こそ世界初の民間月面着陸が実現? 日本では新たな宇宙港の誕生も
2022年もさまざまな話題がある宇宙開発。今回は、「月面探査」「新型ロケット」「深宇宙探査」の3つをテーマに、2022年の動向を見ていきたい。 - 2021年はロケット開発がさらに過熱、日本初の月面探査も実現する!?
2021年もさまざまな話題がある宇宙開発。今回は、「大型ロケット開発」「民間の小型ロケット」「商業化が進む月面探査」の3つをテーマに、2021年の動向を見ていきたい。 - 2020年は空前の火星探査イヤーに、はやぶさ2が帰還しH3ロケットの開発も着々
2020年の宇宙開発で最も注目を集めそうなのが「火星探査」だ。この他「月・小惑星探査」「新型ロケット」「多様化する人工衛星」をテーマに、注目すべき話題をピックアップして紹介する。 - 2019年は民間機による「宇宙旅行元年」となるか、はやぶさ2のタッチダウンも注目
2019年は宇宙開発の話題が盛りだくさん。その中でも「有人宇宙機開発」「月・小惑星探査」「日本の新型ロケット」という3つのテーマに絞り、注目すべき話題をピックアップして紹介する。