2022年こそ世界初の民間月面着陸が実現? 日本では新たな宇宙港の誕生も:MONOist 2022年展望(1/3 ページ)
2022年もさまざまな話題がある宇宙開発。今回は、「月面探査」「新型ロケット」「深宇宙探査」の3つをテーマに、2022年の動向を見ていきたい。
恒例の新年展望記事ということで、2022年の宇宙開発について注目の話題を紹介していこう。今年もさまざまなことがありそうだが、その中でも筆者の個人的な趣味により、今回は「月面探査」「新型ロケット」「深宇宙探査」の3つに関連した話題を取り上げる。参照先のWebサイトも付けておくので、詳しく知りたいときはそちらを見てほしい。
引き続き月面での競争が熱い!
2021年の展望記事で、筆者は大型ロケットの初飛行について紹介していたのだが、日本の「H3」、米国の「Vulcan」と「SLS」は軒並み延期となってしまい、いずれも打ち上げられなかった。ロケットの開発は基本的に遅れるものなので驚きはないものの、そういった影響をモロに受けるのは搭載する予定だった衛星や探査機である。
2021年の記事では、月面探査についても取り上げた。「2021年は月面の商業探査元年となるかもしれない」と結んだのだが、大型ロケットの打ち上げ延期の影響もあって、その結論としても「月面の商業探査元年にはならなかった」。ただ、引き続き2022年の大きなトピックではあるので、ここで最新の状況についてまとめておきたい。今年こそ、商業探査元年となることを期待したい。
2022年、民間による月面探査を予定しているのは、米国のAstroboticとIntuitive Machines、そして日本のispaceなど。気になるのは、どこが世界初の民間月面着陸を達成するのか、ということであるが、予想は正直難しい。
Astroboticは、Vulcanという新型ロケットの事情もある。他の2社は実績のある「Falcon 9」という点は有利なものの、ランダー側の遅れでどちらも延期が続いている。Intuitive Machinesは、2022年第1四半期の打ち上げ予定を2022年後半へと変更したばかり。ispaceは先日の会見で、2022年末の打ち上げ予定であることを明らかにした。
一方、月面着陸は、「日本初」という観点でも注目したい。有力な候補は、民間では前述のispaceだ。そしてJAXA(宇宙航空研究開発機構)も「OMOTENASHI」と「SLIM」で月面着陸を計画している。
OMOTENASHIは6Uサイズという、世界最小での月面着陸を目指すユニークな探査機だ。SLSへの相乗りとなり、現時点での予定ではこれが最も早く打ち上げられる可能性が高いものの、SLSの予定ほど当てにならないものはないので、何とも言えない。SLSは最終試験を2022年3月以降に実施し、その後、打ち上げ日を決めるとしている。
SLIMはX線分光撮像衛星「XRISM」とともに、H-IIAロケットで打ち上げられる。H-IIAの運用は非常に安定しており、ロケット側の心配は全くないものの、打ち上げ予定が「2022年度」となっており、今のところ2022年内なのかどうかは判断できる情報がない。
その他、ランダーではないものの、日本初の月面ローバーとして、ダイモンの「YAOKI」にも注目だ。Astroboticのランダーに搭載されるため、ロケットやランダーの開発状況次第となるものの、日本初のランダーよりも、日本初のローバーが先に実現する可能性も十分あるだろう。
また2022年は、ロシアが月探査機「Luna 25」を打ち上げる予定。前号機の打ち上げは旧ソ連時代の1976年だったので、ロシアとしては実に約半世紀ぶりの月面着陸となる。今のところ、打ち上げ予定は2022年7月とされており、こちらにも注目したいところだ。
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