痛みを伴わず簡便に、動物の皮膚に文字や数字を表示できるパッチを開発:医療機器ニュース
東京大学 生産技術研究所は、特定の文字や数字パターンを施したマイクロニードルパッチの新しい製法と、同パッチを用いて動物の個体を識別する新しい標識法を開発した。
東京大学 生産技術研究所は2024年1月11日、特定の文字や数字パターンを施したマイクロニードルパッチの新しい製法と、同パッチを用いて動物の個体を識別する新しい標識法を開発したと発表した。
マイクロニードルパッチとは、針形状の微細構造体が一定の配列で並んでいるパッチだ。従来法では、パターンごとに原型となるマスターモールドを作製し、その雌型モールドを追加作製するプロセスが必要だった。
研究チームが新たに開発したモールドは、3Dプリンタで作製したプラグを用いる。1つのマスターモールドから、複数の文字を含むさまざまなパターンを有するマイクロニードルパッチを作製できる。
具体的には、マスターモールドで作製したベースモールド上に、あらかじめ設計されたパターン形状を持つプラグを固定し、不要な空洞を埋め込むことで特定のパターンを持つマイクロニードルパッチを作製する。プラグのデザインを変えるだけで、さまざまなパターンの入った雌型モールドを作製でき、新たにマスターモールドを作製する必要がない。
新手法を用いて作製したマイクロニードルパッチを利用して、動物の個体識別を目的とした標識付け方法「バイオタギング」も開発した。まず、針構造体となる材料に不溶性インクを混合し、特定の文字と数字のパターンからなる溶解性マイクロニードルパッチを作製する。このパッチを動物の皮膚に貼付すると皮膚の真皮内に構造体が溶け出す。それと同時にインクが特定の文字と数字の形で溶け出し、永久に残存する仕組みだ。
開発した手法は簡便で痛みを伴わず、廃棄物を低減する。また、医療従事者ではない一般人も施術可能なため、今後、産業動物やペット用の識別用標識付け方法として幅広く活用されることが期待される。将来的には美容タトゥーのような人間向けの応用につながる可能性もある。
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