製造業のレジリエンス強化は「デジタル活用」と「地産地消」が鍵に:製造マネジメントニュース
アクセンチュアは、「製造業におけるレジリエンス」に関するグローバルの調査結果を発表した。不安定な社会情勢では、地域内での調達と生産に加え、デジタル技術を活用した体制構築が重要だと解説している。
アクセンチュアは2023年12月5日、「製造業におけるレジリエンス(回復力、復元力)」に関する調査結果を発表した。調査によれば、65%の企業で、2026年までに主要品目の多くを地域内のサプライヤーから調達する計画があり、現在の38%から大幅な増加が見込まれることが分かった。
さらに85%の企業が、2026年までにほぼ全ての自社製品の生産と販売を、同じ地域で行う予定であることがわかった。
同社は、不安定な社会情勢においては地域内で調達や生産を行うことが重要だが、それだけでは不十分だとしている。デジタル技術を活用するとともに、AI(人工知能)やデジタルツインなどに投資することで、不安定な市場動向にも対応できる再構成可能な供給網や自立型の生産体制が構築できると解説した。
調査では、業界別にレジリエンスの成熟度を0〜100のスコアで示した。平均スコアは56で、航空宇宙、防衛分野や公共事業、自動車などの分野で高いスコアとなった。
また、レジリエンスに優れた企業(25%)の年間売上高は、脆弱(ぜいじゃく)な企業(25%)と比較して3.6%高くなったという。
同調査では、レジリエンスを強化するための3つのポイントもまとめた。1つ目はサプライチェーンや生産プロセスの可視性を高め予測可能で自律的なものにすること、2つ目はデジタルツインなどを活用して初期段階から設計におけるレジリエンスを向上することとした。また、3つ目として、デジタル技術に関する社員のスキルアップを図り、データ主導の意思決定を行えるようにすることを挙げた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- サプライチェーンのレジリエンスを高める「モデリング」と「ストレステスト」
コロナ禍をはじめとする社会環境の変動により、企業のサプライチェーンにはこれまでの効率性に替わってレジリエンスが求められるようになっている。本連載の最終回となる第3回では、サプライチェーンのレジリエンスを向上するための施策を紹介する。 - 製造業がポストコロナで勝ち残るために最低限必要となる3つの視点
日本のモノづくりの現状を示す「2021年版ものづくり白書」が2021年5月に公開された。本連載では3回にわたって「2021年版ものづくり白書」の内容を掘り下げる。第2回では「製造業のニューノーマル」の主軸として紹介されている「レジリエンス」「グリーン」「デジタル」という3つの視点について掘り下げる。 - 品質不正発生に備えた「危機管理」の重要性――レジリエンスを高める
万が一、品質リスクが顕在化した場合に備えて危機管理の仕組みを整備しておくことが重要です。危機では複数のタスクが同時多発的に発生する中で、どのような準備ができ、実際の対応にあたる際にはどのようなことに留意すべきなのかを、「レジリエンス」という危機管理のキーワードを用いて解説します。 - 複雑化する調達課題、今日から意識すべき4つのサプライチェーンリスク
MONOistのライブ配信セミナー「サプライチェーンの革新〜資材高騰・部品不足に対するレジリエンスとは〜」で実施した未来調達研究所 経営コンサルタントの坂口孝則氏による基調講演を紹介する。 - サプライチェーン強靭化のため、まずは現地・現物主義からの脱却を
新型コロナウイルス感染症に続き、ロシアとウクライナを巡る地政学的リスクなど、サプライチェーンに多大な影響を与える事象が続く中、製造業はどのように供給網のレジリエンス向上に取り組むべきか。現状と展望について、Anaplanジャパン 社長執行役員の中田淳氏に話を聞いた。 - サプライチェーンの「デジタル化空白地帯」を埋める、カシオ計算機の調達DX
MONOistでは2022年11月17〜18日にオンラインセミナー「サプライチェーンの革新〜資材高騰・部品不足に対するレジリエンスとは〜」を開催。本稿では、カシオ計算機 デジタル統轄部 シニアオフィサーで開発・生産改革担当の矢澤篤志氏による基調講演「製造業を取り巻くサプライチェーン課題と今、とりくむべき調達DXについて」の内容を紹介する。