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インタビュー

サプライチェーン強靭化のため、まずは現地・現物主義からの脱却をサプライチェーン改革(1/2 ページ)

新型コロナウイルス感染症に続き、ロシアとウクライナを巡る地政学的リスクなど、サプライチェーンに多大な影響を与える事象が続く中、製造業はどのように供給網のレジリエンス向上に取り組むべきか。現状と展望について、Anaplanジャパン 社長執行役員の中田淳氏に話を聞いた。

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 サプライチェーンのレジリエンス向上は、製造業が最優先で取り組むべき課題の1つである。言うまでもなく、供給網の途絶は顧客への製品、サービス供給の停止を意味し、自社に大きな経済的損失を与えかねない。これを防ぐ上では自社の製品在庫や、人員などのリソース、サプライヤーのリスク評価を適切に可視化し、管理する仕組みづくりが必要だ。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に続き、ロシアとウクライナを巡る地政学的リスクなど、サプライチェーンに多大な影響を与える事象が続く中、製造業はどのようにレジリエンスを高める取り組みを進めるべきなのか。現状と展望について、サプライチェーン領域をはじめとする計画業務の支援に取り組むAnaplanジャパン 社長執行役員の中田淳氏に話を聞いた。

複数領域の計画業務をつなぎ合わせる

MONOist Anaplanはサプライチェーン分野でどのようなソリューションを手掛けているのでしょうか。

中田氏 当社は製造業をはじめとする計画業務の支援を行うSaaS(Software as a Service)型クラウドソリューションを提供する企業だ。世界57カ国で1800社以上の顧客を有する。国内では2016年から展開を開始し、製造業ではパナソニックや三菱電機、コニカミノルタ、デンソーなどの企業が当社のソリューションを導入している。


Anaplanジャパンの中田淳氏[クリックして拡大] 出所:Anaplan

 世の中の計画業務は多くの場合Excelで行われているが、正確性に欠ける上、スピード感も出ない。この業務改革を行うとともに、実績値と計画値の乖離(かいり)を分析して、次の打ち手を考え、事業のシナリオを軌道修正するまでの一連の流れをサポートする。

 財務経理や人事、営業/マーケティング、サプライチェーンなど複数領域にまたがる計画業務を包括的にカバーし、各業務を相互につなぐ「コネクテッドプランニング」を実現しているが、これは(計画業務ソリューションを展開する企業では)当社だけの特徴と自負している。サプライチェーンに関していえば、計画業務を対象としたソリューションなので、強靭化に必要なモノやヒト、カネ全てを測定できる点が強みだ。クラウドツールなのでグローバル拠点への導入、情報取得も実施しやすい。


財務経理、人事、営業/マーケティング、サプライチェーンの各領域の計画業務を横断的に支援できる[クリックして拡大] 出所:Anaplan

 当社ソリューションはGoogle Cloud Platform(GCP)やAWSなどのパブリッククラウドとも連携する。機械学習をはじめとするAI(人工知能)による需給、収益などの予測支援機能も備える。顧客からはローコードツールのように、Excelの関数を組み合わせる感覚で機能作成が行える点も評価してもらっている。将来的には、より自律的な計画と実行のフィードバックループを構築して計画意思決定を支援する、「Autonomous Enterprise」を実現したいと構想している。

在庫やキャパシティーの可視化を

MONOist 国内製造業におけるサプライチェーン強靭化の取り組みをどう見ていますか。

中田氏 他社は分からないが、当社に限ればサプライチェーンを強靭化したいという引き合いが増えていると感じる。以前はS&OP(Sales and Operations Planning)に関する相談が多かったが、COVID-19の感染拡大以降は、COVID-19に影響を受けた半導体不足の問題や、地震などの天災、異常気象への対応として、サプライヤーを巻き込んだサプライチェーン対策を展開したいというニーズが高まっている。

 そのためには、在庫の残数や人員などリソースのキャパシティーを可視化し、常に確認できる環境がいる。加えて、情報を基にどのサプライヤーから調達するかを迅速に意思決定し、リードタイムを短縮する仕組みも大切だ。製造業の顧客と話していると、営業や調達部門がこうした情報にアクセスできない状況に悩んでいるという声も多い。

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