ニュース
アンテナの高効率化と小型化に対応、Wi-Fi 6E/7向け無給電素子結合デバイス:組み込み開発ニュース
村田製作所は、Wi-Fi 6EとWi-Fi 7に対応する無給電素子結合デバイスを開発した。サイズは1.0×0.5×0.35mmで、同社のセラミック多層技術を活用し、アンテナの高効率化と小型化を両立した。
村田製作所は2023年12月7日、Wi-Fi 6Eや次世代無線LAN規格のWi-Fi 7に対応する、無給電素子結合デバイスを開発したと発表した。同社のセラミック多層技術を活用し、アンテナの高効率化と小型化を両立可能にした。既に量産を開始している。
サイズは1.0×0.5×0.35mmと小型で、2つのコイルを近接配置したトランス状の構造を採用。コイル間の結合が無給電素子を給電アンテナに強く電磁界結合することで、無給電素子が持つアンテナ共振を追加できる。アンテナのマッチングも改善し、長いアンテナケーブルによる性能低下も抑制できる。
Wi-Fi 6EとWi-Fi 7の規格適用にあたっては、通信速度や品質を向上するため、複数のアンテナを搭載する必要がある。また、プロセッサの高機能化による放熱装置やバッテリーの大型化により、アンテナの搭載スペースは縮小傾向にある。そのため、アンテナの小型化と性能の両立が求められていた。
同デバイスを搭載したアンテナは、広帯域にわたって高効率で、Wi-Fi 6EとWi-Fi 7規格に準拠した良好な無線通信を提供可能になる。同社は、PCやタブレット端末、スマートフォン、VR(仮想現実)とAR(拡張現実)関連機器、ゲーム機、Wi-Fiルーターなどでの利用を見込む。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 現実解を模索する導入3年目のローカル5G、Wi-Fi 6Eはダークホースになり得るか
さまざまな事業主体が5Gを自営網として利用できるローカル5Gの国内導入が始まって2022年は3年目になる。4.6G〜4.9GHzの周波数帯を用いるサブ6とSA(Stand Alone)構成という組み合わせが現実解として主流になる中、導入コスト削減に向けた取り組みも進んでいる。一方、6GHz帯を用いるWi-Fi 6Eを国内で利用するための検討作業も進んでいる。 - Wi-Fi 6E対応の小型無線通信コンボモジュール
村田製作所は、Infineon TechnologiesのIC「CYW55573」をベースとした、Wi-Fi 6E対応の小型Wi-Fi/Bluetoothコンボモジュール「Type 2EA」を発表した。Wi-Fi 6Eによる高速低遅延通信に対応する。 - Wi-Fi 6Eは2022年末には国内利用可能に、シスコがハイブリッドワーク向けで展開
シスコシステムズは、オフィス出勤とテレワークを組み合わせた働き方である「ハイブリッドワーク」や企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支える同社の最新のネットワーク技術について説明した。 - Wi-Fi 6E対応の無線LANコンボモジュールを発表
サイレックス・テクノロジーは、最新規格Wi-Fi 6/Wi-Fi 6Eに対応する無線LANコンボモジュール「SX-PCEAX」シリーズを発表した。電波環境が厳しい工場や倉庫、医療現場などで利用する無線LAN搭載機器に適する。 - Wi-Fi 7の無線通信速度は5Gbps超へ、インテルとブロードコムが相互運用性を確認
インテル(Intel)とブロードコム(Broadcom)は、クロスベンダーによる業界初のWi-Fi 7のデモンストレーションを実施し、5Gbpsを超える無線通信速度を実現したと発表した。 - インテルのWi-Fi 7開発は順調、2030年に全ての無線通信がシームレスにつながる?
インテルが、Wi-Fiや5Gを中心とした同社の無線通信技術の開発状況について説明。Wi-Fiについては、6GHzの周波数帯を用いるWi-Fi 6Eの需要が2022年後半に向けて急激に拡大するとともに、同じく6GHz帯を用いてより高速かつ安定な通信が可能なWi-Fi 7の登場により、さらに需要が拡大すると見ている。