転倒予防などへ期待、反応性姿勢制御を改善するウェアラブルデバイス:医療機器ニュース
東京理科大学は、反応性姿勢制御を改善する軽量かつ小型の柔軟なウェアラブルデバイスを開発した。予期しない外的摂動を与えるバランストレーニング用のデバイスで、短時間の使用で反応性姿勢制御が改善する。
東京理科大学は2023年11月27日、県立広島大学と共同で、反応性姿勢制御を改善する軽量かつ小型の柔軟なウェアラブルデバイスを開発したと発表した。予期しない外的摂動を与えるバランストレーニング用のデバイスで、短時間の使用で反応性姿勢制御が改善することを確認した。
反応性姿勢制御とは、予期しない外部からの刺激の後に、姿勢の安定性を回復する能力だ。今回開発したウェアラブルバランストレーニング装置(Wearable Balance Exercise Devise:WBED)は、空気圧式人工筋(Pneumatic Artificial Muscles:PAM)で発生させた微細な外乱に対し、ユーザーが抗って姿勢を保持することで、反射的にバランスをとる能力を改善する。
先行研究のWBEDをベースに、ソフトサポーター、ソフト骨盤ベルト、電磁弁、CO2タンク、4つのPAMで構成する。家庭でも簡単に使用できるよう、軽量かつ小型化した。重量は0.9kg、装着にかかる時間は3分以内で、スマートフォンを使ってトレーニングのための操作ができる。
健康な成人男性18人を対象とした試験では、予期しない外乱を無作為に受けながらトレーニングを実施。その結果、トレーニング前に比べ、内外測方向の足底圧中心変位と足底圧中心変位のピーク速度が有意に低下した。このことから、WBEDを用いたトレーニングにより、反応性姿勢制御が即座に改善することが示された。
今後、高齢者の転倒予防など医療福祉分野での活用や、健康増進、スポーツ領域への展開が期待される。
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