高周波/高速伝送関連市場は2035年に2.1倍に成長、6G通信設備への投資が拡大:製造マネジメントニュース
富士キメラ総研は、高周波/高速伝送通信に対応するデバイスと材料における世界市場を調査し、「2024 高周波/高速伝送関連市場の将来展望」として発表した。2035年の市場規模は18兆6643億円で、2022年比で2.1倍に成長する見通しだ。
富士キメラ総研は2023年11月22日、高周波/高速伝送通信に対応するデバイスと材料における世界市場を調査し、「2024 高周波/高速伝送関連市場の将来展望」を発表した。2035年の市場規模は18兆6643億円で、2022年比で2.1倍に成長する見通しだ。
同調査では、端末向け通信デバイス/モジュールの11品目、インフラ向け通信機器/デバイスの7品目、コネクター/受動部品の6品目、高周波/高速伝送関連材料の3品目を対象とした。また、高周波/高速伝送通信を利用するアプリケーションの8品目のマーケットに関しても調査を行った。
2023年の同市場は、スマートフォンや基地局などセット機器の市場が落ち込み、端末およびインフラ向けのデバイスと材料の需要は低迷したが、円安の影響で2022年比2.8%増の9兆1758億円となる見込み。2024年以降になると、5G通信の6GHzを超える高周波帯の追加、ネットワークをNSA(ノンスタンドアロン)方式からSA(スタンドアロン)方式に切り替えるための設備投資の増加が予測される。2028年頃からは、6G通信の本格化に向けた設備投資が活発化し、2035年の同市場は2022年比で2.1倍の18兆6643億円に成長する見込みだ。
分野別で見ると、端末向け通信デバイス/モジュールに関しては、通信キャリアなどがWi-Fiのアクセスポイントの設置数を増やしており、Wi-Fiチップの需要が大幅に増加している。今後も情報通信機器に加え、自動車や家電など多様な機器への搭載が見込まれることから、引き続きWi-Fiチップが市場拡大をけん引する。
インフラ向け通信機器/デバイスは、通信キャリアの設備投資が低調で、2023年は前年比で2.7%増にとどまる見込みだ。今後は、基地局やサーバ、ルーター、スイッチなどインフラ機器内部や機器間伝送の高速化に伴い、電気信号と光信号を相互に変換する光トランシーバーの成長が予想されている。
コネクター/受動部品に関しては、2024年より新たな周波数の追加による基地局の増加、Sub6以上対応のスマートフォンの登場で、RFモジュールの需要拡大が見込まれる。これにより、MLCC(積層セラミックコンデンサー)やインダクターが伸びていくと予測する。
高周波/高速伝送関連材料は、2023年にサーバやスイッチ、ルーターなどへの設備投資が拡大したことで、多層基板用低誘電CCL(Copper Clad Laminate)と低誘電CCL用樹脂が成長する見通しだ。今後は、サーバの最大通信速度の向上に加え、車載ミリ波レーダーでの需要拡大などから、多層基板用低誘電CCLと低誘電CCL用樹脂が大幅に伸長すると予測されており、2035年のマーケットは2022年比で5.9倍を見込む。
注目品目として、サーバ用多層基板は、高価格AI(人工知能)サーバ向けが好調であるが、約70%を占める汎用サーバ向けは需要が減退しており、2023年は前年比で11.6%減となる見込み。AIサーバ向けは堅調な需要伸長が見込まれており、汎用サーバ向けも低誘電化への対応から単価上昇が起こることから、2035年は2022年比で3.1倍に成長すると考えられる。
多層基板用低誘電CCLは、Ultra Low Lossグレードを中心にAIアクセラレーターチップ向けの成長、AIサーバのスイッチやルーター向けSuper Low Lossグレードの急伸長から、2023年は2022年比で10.2%伸長。今後は、Super Low Lossの需要拡大、Ultra Low Loss多層基板の車載ミリ波レーダー向けでの増加などが貢献し、2035年には2022年比で7.8倍となる見通しだ。
低誘電CCL用樹脂に関しては、AIサーバ向けの需要増加が寄与し、2023年は2022年比22.0%増となる見込み。今後は、Super Low Lossの活用が進んでいくと考えられる。加えて、より効率的なデータ転送を行う200G×8レーンの使用が進み、Super Low Lossを超えるCCLの需要拡大が見込まれるため、樹脂の需要も伸びていき、2035年には2022年比で10.2倍に成長すると予想されている。
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