日本精工が高負荷駆動用ボールねじの高速耐熱仕様を開発、電動射出成形機など向け:FAニュース
日本精工は、高負荷駆動用ボールねじの高速、耐熱仕様「HTF-SRM型」を開発した。新開発のSRM循環方式を採用し、構成部品を耐熱仕様にすることで高速性と耐熱性を両立している。
日本精工は2023年11月14日、高負荷駆動用ボールねじの高速、耐熱仕様「HTF-SRM型」を発表した。2024年4月から受注を開始し、その後海外にも展開することで、2026年度までに年間5億円の売り上げを目指す。
HTF-SRM型には、新たに開発したSRM(Smooth Return Metal coupling)循環方式を採用し、構成部品を耐熱仕様にすることで高速性と耐熱性を両立している。許容dn値は20万で、従来の高速仕様「HTF-SRC型」より40%向上した。耐熱性は、最高使用温度が90℃、瞬間最高温度が100℃と、いずれも従来品より20℃高くなっている。また、ナットの外観寸法がHTF-SRC型と共通のため、取り付け周りの設計変更は不要だ。
SRM循環方式の開発では、リアルデジタルツインを活用した最適設計を取り入れ、ボール循環による衝撃力の増大という技術的課題を解決した。
さらに、精密加工技術で金属材料を複雑な形状に加工することで、ボールの循環を滑らかにし、耐熱性の向上を図った。樹脂材料を使用した従来品の課題である高速性、耐熱性の限界を突破した。
電動射出成形機には、生産性を向上するためのハイサイクル化や、プラスチック材料を削減する薄肉成形などの性能が求められる。そのため、電動射出成形機に搭載される高負荷駆動用ボールねじは、それらを可能にする高速化や発熱対策が期待される。
2024年4月に受注開始するのは、ねじ軸外径100mm、リードが20mmの製品で、その後、ねじ軸外径100mm、120mm(いずれもリード25mm)を順次展開していく。
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