企業のカメラ画像利活用で問われる倫理観、パナソニック コネクトの取り組みとは:人工知能ニュース(2/2 ページ)
パナソニック コネクトがカメラ画像の利活用における企業のプライバシーガバナンスについて説明。同社はカメラ画像を含めた個人情報/パーソナルデータの利活用案件に対応するための専門組織を立ち上げ、データ利活用とプライバシーの両立に向けた取り組みを進めている。
企業の姿勢や倫理観でしか示せないグレーな領域でどう対応すべきか
パナソニック コネクトは、カメラ画像を含めた個人情報/パーソナルデータの利活用において、炎上やブランド毀損(きそん)が発生するリスクを考慮し、2021年1月に「データ利活用支援チーム」を発足させている。
同社 IT・デジタル推進本部 サービスデリバリー部/個人情報、パーソナルデータ分野におけるプライバシー配慮支援 エバンジェリストで電子情報技術産業協会(JEITA) 個人データ保護専門委員会の委員を務める宮津俊弘氏は「パーソナルデータのプライバシーは、個人情報保護法により守られるべき範囲、プライバシー保護の観点で考慮すべき範囲、そして企業の姿勢や倫理観に判断を委ねられている範囲の3層で守られると考えている。特に炎上やブランド毀損のリスクについては、企業の姿勢/倫理観でしか示せない3層目のグレーな領域での対応が問題になってくる」と述べる。
パナソニック コネクトのデータ利活用支援チームは、事業部向け支援、職能向け支援、推進力強化取り組みという3つの役割を定義し、宮津氏を中心に、法務・コンプライアンス本部、知的財産部、IT・デジタル推進本部からそれぞれリーダーと実働3〜4人の総計10数人のメンバーで構成している。
同チームは、データ利活用において企業に求められるポイントとして「透明性/説明責任」「公平性」「信頼」「論理」「レピュテーションリスク」「データの権利/データの自己コントロール権」「企業姿勢を醸成する職能/仕組みの設置」の7つを挙げる。そして、これらのポイントをベースに、流通店舗における来店客分析実証実験やスポーツ施設における顔認証入退/決済の実証実験、公営競技における顔照合実証実験などについて、事業者間での取り決めや一般消費者向けの告知文案の作成、個人データ共同利用時のルール明確化などを支援してきた。「支援案件のうち顔認証が過半数を占めているが、人流分析や属性推定、バイタルセンシングなどの割合が増加している」(宮津氏)という。
さらに、社内向けイベントの開催や官公庁との連携、クラアイント企業向け勉強会、「CEATEC」やJEITAなど渉外活動でのセミナー登壇、プライバシー配慮に関する知見の獲得や発信も積極的に行っている。宮津氏は「企業におけるデータ利活用という観点で同業他社から問い合わせを受けて、情報共有することなどもある。今後は、カメラ画像だけでなく、音声をはじめとした生体認証など企業の姿勢と倫理観が問われるグレーな領域が拡大していくだろう。データ利活用支援チームの取り組みを着実に広げていきたい」としている。
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