三菱電機が国産リニア搬送システムを2024年投入へ、電気電子部品など主要市場に:2023国際ロボット展
三菱電機は「2023国際ロボット展」において、開発中のリニア搬送システムを参考出展した。2024年秋の発売を予定している。
三菱電機は「2023国際ロボット展」(2023年11月29日〜12月2日、東京ビッグサイト)において、開発中のリニア搬送システムを参考出展した。2024年秋の発売を予定している。
国内メーカーとして曲線を含んだリニア搬送システムを開発
三菱電機は今回、モノづくりのライフサイクルを支えるロボティクスやDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みを紹介している。その中で、EV(電気自動車)などに使われるリチウムイオンバッテリーの組み立てと分解をイメージしたデモラインを披露した。
バッテリーセルの汚れやきずを「AI外観検査」が判定後、セルをケースに入れてシーリングを行い、ケースに蓋をして電極を溶接して完成品を出荷。その後、分解して再び組み立てるというサイクルになっている。
そこで、リニア搬送システムは蓋を運ぶ役割を担っている。同社によれば、曲線を含んだリニア搬送システムの開発は国内メーカーとして初という。
リニア搬送システムは、リニアモーターにより可動子を浮遊させて搬送を行うため、個々の可動子に対して止めたり、高速に動かしたりといった別々の制御させることができる。可動子の上でワークを加工することができ、従来必要だった加工台やストッパーなどが不要になることで装置の設置面積を削減。複数のモジュールを組み合わせることで、柔軟なライン設計ができる。
三菱電機 名古屋製作所 ドライブシステム部 次長の遠藤泰宏氏は「リニア搬送システムは海外メーカーが先行しているが、国内のユーザーからわれわれのPLCやサーボと連携しやすい装置が欲しいというニーズがあった。電池や電気電子部品など高速高精度が必要な分野をメインターゲットに考えている。既に引き合いはあり、共同で検証を行っている」と話す。摩耗しにくい金属製のローラーを使うなどメンテナンス性も高めているという。
リチウムイオンバッテリーの組み立て、分解ラインで稼働している産業用ロボットは、三菱電機の「MELFA」の中型ライン「FRシリーズ」を高速高精度にモデルチェンジした「FR PLUS」(仮称)の可搬重量7kg、4kg、2kgのロボットたちだ。FR PLUSは従来より動作時間を30%縮めることが可能だという。FR PLUSは2024年度以降に順次投入を予定している。
ブース内では、FRシリーズとFR PLUSの動作速度や精度を比較するデモも行った。ハンドにタッチプローブを付けたそれぞれのロボットが同じプログラムに基づいて8カ所を順番に高速で触っていくデモでは、FR PLUSの方が数秒早く終わる性能を見せた他、先端が3mmのタッチプローブを5mmの溝に沿って動かすデモではFR PLUSの軌跡精度の高さを披露した。いわばロボットの基本性能が高まっており、有効精度が出る範囲も広がっている。
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