工場にも広がるコンテナ活用、オムロンの「仮想化制御プラットフォーム」が進化:Edge Tech+ 2023
オムロンは、「EdgeTech+ 2023」において、コンテナ技術を活用した「仮想化制御プラットフォーム」によるリアルタイムモニタリングのデモンストレーションを披露した。
オムロンは、「EdgeTech+ 2023」(2023年11月15〜17日、パシフィコ横浜)において、コンテナ技術を活用した「仮想化制御プラットフォーム」によるリアルタイムモニタリングのデモンストレーションを披露した。
オムロンの「仮想化制御プラットフォーム」によるリアルタイムモニタリングのデモ。写真内左下の赤丸の位置に温度センサーがあり、その奥側にある3台の産業用PCをクラスタ化したコンテナ基盤がシステムの中核となっている[クリックで拡大]
同社は、コンテナ技術を活用したエッジ/クラウド連携により産業用PCのアプリケーションの柔軟な実装やアップデートを可能にする仮想化制御プラットフォームの構築を目指している。EdgeTech+の展示では、その進捗についてエコシステムパートナーとともにデモなどで示してきた。
今回のデモは、オムロンの産業用PCを3台用いてクラスタ化したコンテナ基盤を中核として、温度センサーからのセンサーデータをコンテナアプリケーションを使ってリアルタイムにモニタリングするものとなっている。なお、温度センサーからのデータ収集では、OPC-UAサーバとして定義された産業用コントローラーの「NX502」を用いている。
コンテナ基盤上に組み込んだコンテナアプリケーションとしては、OPC-UAサーバとのインタフェース、センサーデータをSQL形式のデータベースとして扱う「CockroachDB」、センサーデータの見える化を行うダッシュボードツールの「Grafana」などがある。これらのコンテナ基盤の管理では、レッドハットのKubernetesプラットフォーム「OpenShift」を採用するとともに、オムロン独自の機能も実装している。
Grafanaによるダッシュボード表示とOpenShiftベースのコンテナ管理はHTTP経由で行えるので、仮想化制御プラットフォームがうたう高可用性につながる。なお、デモシステムの構築では、これまでも協力してきたレッドハットやコグニザント(Cognizant)の他、今回からはIBMも加わっているという。
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