検索
特集

エアコンは社会インフラ、だからこそ日立「白くまくん」は国内生産回帰を進めるモノづくり最前線レポート(2/2 ページ)

「ITmedia Virtual EXPO 2023秋」の「スマートファクトリーEXPO」において、日立ジョンソンコントロールズ空調の泉田金太郎氏が「日立ルームエアコン『白くまくん』国内生産回帰とその狙い」と題して行った講演について紹介する。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

生産拡大で100人以上の雇用が発生、繁忙期にはさらに200人の追加雇用も

 日立ジョンソンコントロールズ空調の具体的な取り組みとしてはまず、「メイドイン栃木」と明確なメッセージを掲げて、栃木事業所で2023年3月に室外機、同年4月に室内機の「スリムモデル」を生産することを決めた。それまでは高級機種を中心にルームエアコンの約30%が国内生産だったが、今回スリムモデルの追加生産によって2024年度には国内生産比率は約50%に達するとみている。

写真右側がスリムモデルの室内機の新ライン
写真右側がスリムモデルの室内機の新ライン[クリックで拡大]

 この生産拡大によって100人以上の雇用も発生。繁忙期の2023年6〜7月には約200人の追加雇用も実現している。生産ラインの拡張を行ったことにより国内での設備投資金額も増加した。さらに、当初の狙いだったリードタイム短縮についても、国内生産によって従来比で3週間の短縮を実現できた。これらの他、スリムモデルの国内生産プロジェクトでは、災害や疫病、地政学の影響などによる供給リスクを低減するため、主要な部品については2〜3社による購買を徹底する部品のダブルソーシングを行っている。

栃木事業所におけるスリムモデルの生産の様子
栃木事業所におけるスリムモデルの生産の様子[クリックで拡大]

 なお、同プロジェクトの最終承認が下りたのは2022年12月である。繁忙期に入る前の2023年5月上旬から量産をスタートできるように準備を進めるという短期間の取り組みだった。プロジェクトを進めるため、関係する全部門によるワーキンググループが毎日ミーティングを開き、そこで課題を共有して解決を高速化することにより、短期間での実現が可能になったという。また、施策の一つには生産性向上を図るための金型試行回数の削減などもあり、こうした取り組みによって移管元の中国工場と同等のコスト競争力も実現している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る