チップレットなど先端半導体やEV部品を3Dで高速自動検査、オムロンが検査装置拡充:FAニュース(1/2 ページ)
オムロンは新たなCT型X線自動検査装置「VT-X950」「VT-X850」を2024年に投入する。半導体検査向けの「VT-X950」は2024年春、EV部品向けの「VT-X850」は2024年2月の発売を予定している。
オムロンは2023年11月21日、新たなCT型X線自動検査装置「VT-X950」「VT-X850」を2024年に投入すると発表した。半導体検査向けの「VT-X950」は2024年春、パワーデバイスやEV(電気自動車)部品向けの「VT-X850」は2024年2月の発売を予定している。従来機の「VT-X750」にも最大基板サイズを拡張したモデルを新たに2024年3月に追加する。これらの新機種により、2024年度に数十億円の売り上げを目指す。
オムロンはセンサーやサーボモーター、PLC(プログラマブルロジックコントローラー)など制御機器を扱う中で、それらを組み合わせた検査装置を扱う検査システム事業も展開している。基板検査システム、寸法検査システム、シート表面検査システムの3つで構成されており、最も売り上げが大きいのが、プリント基板の表面実装工程で用いられる部品やはんだの状態を検査する基板検査システム事業だ。
オムロンの基板検査システムは1987年の初代検査装置「VT-3500」の発売からスタートした。当初はビデオデッキなどに搭載されるプリント基板の検査向けに開発したという。
オムロンでは赤、青、黄の光を異なる高さからはんだ部分に当てることで、はんだの形状を正確に計測するカラーハイライト方式を用い、はんだの反射輝度に影響されずに正確に形状を捉えることに成功。プリント基板が搭載される製品が広がるとともに事業も大きくなっていった。
その後、基板に搭載される部品の小型化が進み、プリント基板の構造が複雑化すると、はんだの状態だけでなく部品の姿勢なども検査の対象となり、検査手法もX線などを用いた3Dデータの取得に移行していった。その中で、オムロンは2008年に医療用のCT技術を産業用に転用し、高精細ながら高速ではんだの3Dデータが得られるCT型X線検査装置「VT-X700」を発売した。
近年、半導体ではそれぞれ最適なテクノロジーノードで製造した複数の半導体チップをインターポーザーと呼ばれる基板上に載せて大規模化する「チップレット」が着目されている。搭載するチップの数が多くなると、それぞれのチップに対して検査が必要になり、必要な検査が増える。さらに、基板上に複数のチップを並べる2.5Dパッケージから、チップを積層する3Dパッケージに進化するにつれて、電極の直径はフリップチップ実装に用いられるC4バンプで数十μm、2.5D/3Dパッケージで用いられるμバンプでは小さい場合には数μmに至るなど、はんだの箇所が増加し、小型化している。
また、チップとインタポーザ、基板間の距離やはんだのボイド(はんだの中の気泡)に関する検査のニーズが出ている。距離が大きなると半導体の性能に影響するのはもちろん、はんだが小さくなるにつれて、ボイドがもたらす影響が大きくなっているためだ。
「VT-X950」はそれら先端半導体の検査向けに開発した。最小分解能は1画素あたり0.2μmとなり、2012年発売の従来機「VT-X900」の同0.3μmより向上した他、検査時間も「VT-X900」より大幅に短縮した。
「基本的に精度と検査時間はトレードオフの関係になっているが、今回、われわれの制御技術とモノづくりによって同時に両方を高めることに成功した」(オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 検査システム事業本部 X線検査システム事業部 事業部長の村上清氏)
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