連載
自然エネルギーで自活する街“グリーンシティー”をモデリングする:1Dモデリングの勘所(25)(4/4 ページ)
「1Dモデリング」に関する連載。連載第25回は、自然エネルギーで自活する街“グリーンシティー”を取り上げる。まず、グリーンシティーの全体像を考え、次にこれらを構成する要素の定式化を行う。最後に、全体を統合してグリーンシティーのエネルギー収支をモデリングする。
解析例と考察
以上を整理すると、発電量は発電用の太陽光発電が、
風力発電が、
となる。以上の知見を基に、まず、家庭内の1日のエネルギー収支を計算すると図9となる。エネルギー収支が1日単位でバランスしていることが分かる。
次に、グリーンシティー全体の1日のエネルギー収支を計算すると図10となる。なお、ここには家庭内設置の太陽光パネルによる発電量は含めていない。この状態で数日経過すると、それなりに蓄電されることが予想される。
今回はグリーンシティーのモデリングを取り上げたが、機械システムとは異なり自然および人を対象とする現象では不確定要素が大きく、これをどのように扱い、どうモデリングするかが鍵となる。今回は理想的な条件でのモデリングを行ったが、これを起点にさまざまな検討が可能と考える。 (次回へ続く)
筆者プロフィール:
大富浩一(https://1dcae.jp/profile/)
日本機械学会 設計研究会
本研究会では、“ものづくりをもっと良いものへ”を目指して、種々の活動を行っている。1Dモデリングはその活動の一つである。
- 研究会HP:https://1dcae.jp/
- 代表者アドレス:ohtomi@1dcae.jp
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 1Dモデリングの方法にもさまざまなアプローチがある
「1Dモデリング」に関する連載。連載第4回では、本題である1Dモデリングの方法を取り上げる。まず、1Dモデリングの方法には大きく「モデル生成」「低次元化モデリング」「類推モデリング」の3つのアプローチがあることを説明。特に本稿では1Dモデリング固有の考え方としての類推モデリングについて詳しく解説する。 - 0Dモデリングとは? 理論・経験に基づく理論式・経験則が究極の1Dモデリング!?
「1Dモデリング」に関する連載。連載第3回は、理論・経験に基づく理論式・経験則が究極の1Dモデリングであることを、0Dモデリングの定義、3Dモデリングとの関係、幾つかの事例を通して説明する。また、理論・理論式を考えるに当たって重要な“単位”に関して、なぜ単位が必要なのかその経緯も含めて紹介する。 - 1Dモデリングとは? モデリングをさまざまな視点から捉えることで考える
「1Dモデリング」に関する連載。連載第2回は、モデリングをその表現方法から2種類の“3つのモデリング”に分けて考える。次に1Dモデリングが必要となる背景について、1DCAEとMBDという2つの製品開発の考え方を紹介し、これらと1Dモデリングの関係を示す。さらに、リバース1DCAEと1DCAEを通して、より具体的に1Dモデリングのイメージを明らかにする。以上を通して、最後に“1Dモデリングとは”について考察する。 - モデリングとは何か? 設計プロセスと製品設計を通して考える
「1Dモデリング」に関する連載。連載第1回は、いきなり1Dモデリングの話に入るのではなく、そもそもモデリングとは何なのか? について考えることから始めたい。ものづくり(設計)のプロセス、製品そのものを構成する要因を分析することにより、モデリングとは何かを明らかにしていく。 - なぜ今デライトデザインなのか? ものづくりの歴史も振り返りながら考える
「デライトデザイン」について解説する連載。第1回では「なぜ今デライトデザインなのか?」について、ものづくりの変遷を通して考え、これに関する問題提起と、その解決策として“価値づくり”なるものを提案する。この価値を生み出す考え方、手法こそがデライトデザインなのである。 - デライトデザインとは? 3つのデザイン、類似の考え方を通して読み解く
「デライトデザイン」について解説する連載。第2回では、デライトデザインとは? について考える。まず、設計とデザインの違いについて触れ、ユーザーが製品に期待する3つの品質に基づくデザインの関係性にも言及する。さらにデライトデザインを実行する際に参考となる考え方や手法を紹介するとともに、DfXについて説明し、デライトデザインの実践に欠かせない要件を明確にする。