オムロン制御機器事業が進めるデータ活用とソリューションビジネスの拡大:FAインタビュー(3/3 ページ)
オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 社長の山西基裕氏が合同取材に応じ、データを活用したソリューションビジネスの拡充を図る制御機器事業について語った。
生産現場のデータを標準化、構造化する最初のプレイヤーに
生産現場の課題は、さらなる生産性の追求だけでなく、消費電力削減などの環境対策、働きがいの創出など複雑化してきている。
「それらを解決しようと思うと1つのアプリケーションの提供だけでは効果は限定的だ。製造現場のデータはとても難しい。PLCに入ってくるデータというのは製造現場全体からすればほんの一部でしかない。どこにどんな因果関係や課題があるのかをひもといていくのは至難の技だ。JMDCは千差万別のデータを意味付けて、整理して標準的に構造化していく技術に長けている。モノづくりの根本的なデータと、消費電力などの必要データを構造化できる最初のプレイヤーになれる可能性を秘めている」(山西氏)
2015年に米国の産業用ロボットメーカーだったAdept Technology(アデプト・テクノロジー)を買収、2018年には台湾の協働ロボットメーカー、Techman Robot(テックマン・ロボット)と提携(2021年に出資)、AMR(自律搬送型ロボット)のラインアップも拡充するなどロボット関連事業も強化してきた。
「ロボットも含めたハードウェア自体はかなりそろってきた。ただ、技術進化が速く、一安心だとは考えていない。まだまだ進化させていかないといけない」(山西氏)
山西氏は1997年にオムロン入社後、IAB 企画室 業界マーケティング部長やIAB ロボット推進プロジェクト本部長、IAB 商品事業本部長を経て、2023年4月にIAB 社長に就任したばかり。
「年齢的にも、いつか自分が担っていくんだろうとは思っていた。タイミングが早くて正直驚いたが、全身全霊をかけて臨む気持ちはすぐに固まった。モノを中心としながらも、そこから派生するソリューションビジネスに事業を転換させていくのが最大のミッションだ。IABの方向性、戦略は手応えを感じている。あとは、その実行力を高めていく」(山西氏)
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